画像提供元:PRTIMES<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000713.000003436.html>

 2021年に飲食料品業界を驚かせた、グミ市場とガム市場の大逆転劇。人口減少が深刻化する国内情勢にもかかわらず、新商品が次々と生まれ、コンビニでの売り場面積を拡大し続ける「グミ」は、なぜこれほどのヒット商品となったのか? 本連載では『グミがわかればヒットの法則がわかる』(白鳥和生著/プレジデント社)から、内容の一部を抜粋・再編集。マーケティングの観点から、「奇跡の大ブレイク商品」グミの謎をひもといていく。

 第3回では、SNSがきっかけで大ヒットした「地球グミ」を例に、デジタルネイティブであるZ世代の価値観や嗜好に着目。Z世代が持つ発信力が、市場に与える影響について考察する。

<連載ラインアップ>
第1回 急拡大するグミ市場の陰で、明治はなぜガム市場からの撤退を決めたのか?
第2回 明治「果汁グミ」「コーラアップ」はなぜ多くのロイヤルユーザーを獲得できるのか?
■第3回 SNS発の大ヒット商品「地球グミ」は、なぜZ世代の心に刺さったのか(本稿)
■第4回 カンロが「ピュレグミ」「カンデミーナ」「マロッシュ」で使い分ける“情緒的価値”とは?(9月19日公開)
■第5回 ガムの主力ブランドがグミに“転生”、明治「キシリッシュグミ」が狙うユーザー層とは?(9月26日公開)
■第6回 ファンが市場拡大をけん引、SNS時代のグミ市場を取り巻く「マーケティング4.0」(10月3日公開)

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Z世代とグミ

グミがわかればヒットの法則がわかる』(プレジデント社)

 1990年代半ば以降から2010年代前半に生まれたZ世代。消費のパイとしては小さいが、デジタルネイティブである彼ら・彼女らの価値観や消費スタイルに着目したマーケティングは、新たなニーズを掘り起こすヒントになり、幅広い世代への波及効果も期待できる。

■ 多様性を重視し、個性を認め合う世代

 Z世代は多様性を重視し、個性を認め合う傾向が強いとされる。失敗談も含めてネットで何でも調べられるからこそ、Z世代は製品の購入に対して慎重な面もある。そして、生産や流通、決定に至るプロセスの透明性を求め、企業の広告色の強い発信を好まない。

「SHIBUYA109lab.」 所長の長田麻衣さんは「Z世代はSNSでトレンドを追いかけていて、あまり豊かではないが好きなものにはお金をかける。そういう人たちが今後、消費の中心になっていく。企業側から見ると『一緒に商品を盛り上げていくパートナー』として、きちんと動向を見ていくべき対象だ」と指摘する。

■ 参考にするのはインスタグラムの情報

 コミュニケーションの仕方もほかの世代とは異なる傾向がある。『日経MJ』が2021年11月に実施したZ世代の価値観に関する調査では、製品・サービスの購入で参考にする情報(複数回答)は「インスタグラム」(37.9%)が最も多く、「ツイッター(現X)」も21.3%に上った。ミレニアル世代にあたる27~38歳はインスタグラムが25.5%、ツイッターが12%だった。「口コミ」はミレニアル世代の19.7%に対してZ世代は23%と高い。

 Z世代は画像や動画を介したビジュアルコミュニケーションを重視する。視覚的な共通認識のもとで交流し、SNSで得られる身近な人のお薦めを購入の判断材料にする傾向が強いと見られる。

■ 「地球グミ」のヒットはSNS 発

 2021年後半から2022年に話題を集めた「地球グミ」のヒットも、こうしたZ世代から生まれた。地球グミは、大陸の模様が描かれた透明のプラスチックケースに1個ずつ包装され、地球儀のような見た目。グミの中にはマグマをイメージした真っ赤な「ラズベリー」のソースが入っている。

 この地球グミは、正式名称は「Trolli Planet Gummi」。ドイツの老舗メーカーMEDERER社のブランド「Trolli」がスペインの工場で製造している。2020年秋から日本に輸入が始まり、PLAZAなどの店頭に並び始めた。販売価格は1袋(75グラム、4個入り)で500円以上と、グミにしては高価だが、店舗や正規のオンラインショップでは軒並み品切れ。通販サイト「アマゾン」ではプレミア価格がついた。