日本企業が国際的な競争力を回復するための提言として、経済産業省は2024年6月3日、「グローバル競争力強化に向けたCX研究会報告書(CXレポート)」を取りまとめた。「CX」とは、コーポレートトランスフォーメーション、すなわち企業の経営、組織の根本的な変革を意味する。CXレポートの公表に合わせて同年6月10日には「CXシンポジウム」が開かれた。議論の一部を紹介する。

CX推進で日本企業は世界の期待に応えられる

 CXシンポジウムは齋藤健経済産業大臣のビデオメッセージで幕を開けた。齋藤氏はメッセージの中で「本シンポジウムのテーマは、グローバル競争力の強化だ。わが国の1億2000万人が生き残るためには、強い産業を持ち海外で稼ぐしかない。グローバル競争力を高めるための企業改革、CXは待ったなしの課題となっている」とあいさつ。

経済産業大臣の齋藤健氏

 基調講演では、著書『世界標準の経営理論』や訳書『両利きの経営』で知られる入山章栄早稲田大学ビジネススクール教授が、次のようにCX研究会のメンバーやシンポジウム参加者を鼓舞した。

「日本の証券会社の方からは、海外投資家ミーティングに来る外国人の数がこの1~2年で数倍になっていると聞く。世界が『日本企業はようやくコーポレートガバナンスを行い市場と対話する雰囲気を作りつつある』と見ているからこうした状況になっている。CXを進めることで、世界からの期待に応えられる」(入山氏)

基調講演では入山章栄氏が日本企業の置かれている状況を解説した