新興ネット証券のPayPay証券が、ネット証券業界において台風の目となっている。2024年にNISA口座の取り扱いを開始してから半年足らずで、NISA口座数は約30万口座に到達。ネット証券大手の松井証券を超え、auカブコム証券も射程圏内に捉えた。
開設口座数も好調だ。2022年3月末の32.4万、23年3月末の52.2万、そして24年3月末には107.7万と倍々ペースで増加している。155万口座の松井証券、169万口座のauカブコム証券、263万口座のマネックス証券(それぞれ3月末)の背中も見えてきた。
これまでネット証券は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券が5大ネット証券と呼ばれてきた。しかし、SBI証券と楽天証券が二強として飛び抜け、新興のPayPay証券の急成長によって「5大ネット証券」という枠組みは崩れつつある。
そんなPayPay証券の番所健児社長に、今後の展望を聞いた。
口座開設者の約7割が投資未経験者
――新NISAの口座数が急増した要因をどう分析されていますか?
番所健児氏(以下敬称略) これまでのNISAは、ネット証券大手に口座が集中する傾向がありました。それが、わずか半年でPayPay証券に30万ものNISA口座が開設された。これは、当社の目指す「投資初心者でも使いやすいサービス」という方向性が、多くの方に支持された証左だと考えています。
――口座開設の入口としては、PayPayポイントを使った疑似運用が行えるポイント運用からNISAを始める人が多いようです。
番所 直近の口座開設者の9割がポイント運用経験者で、口座開設者の70%が投資未経験者というのは、われわれとしても想定以上の結果です。ポイント運用は、現金を使う投資に抵抗がある人にとって、次のステップに進むための良いきっかけになっているようです。
PayPayの登録ユーザー数は6400万人超ですが、そのうち1700万人がポイント運用を経験しており、多くの方にご利用いただいています。PayPayポイントは「貯める」「使う」「運用する」という3つの選択肢があり、ポイント運用はその一つとして人気を集めています。ポイントの使い勝手の良さ、PayPayアプリ上でのシームレスな連携などが、ポイント運用の魅力を高めていると考えています。