PayPay証券 代表取締役社長の番所健児氏(撮影:宮崎訓幸)

 新興ネット証券のPayPay証券が、ネット証券業界において台風の目となっている。2024年にNISA口座の取り扱いを開始してから半年足らずで、NISA口座数は約30万口座に到達。ネット証券大手の松井証券を超え、auカブコム証券も射程圏内に捉えた。

 開設口座数も好調だ。2022年3月末の32.4万、23年3月末の52.2万、そして24年3月末には107.7万と倍々ペースで増加している。155万口座の松井証券、169万口座のauカブコム証券、263万口座のマネックス証券(それぞれ3月末)の背中も見えてきた。

 これまでネット証券は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券が5大ネット証券と呼ばれてきた。しかし、SBI証券と楽天証券が二強として飛び抜け、新興のPayPay証券の急成長によって「5大ネット証券」という枠組みは崩れつつある。

 そんなPayPay証券の番所健児社長に、今後の展望を聞いた。

口座開設者の約7割が投資未経験者

――新NISAの口座数が急増した要因をどう分析されていますか?

番所 健児/PayPay証券 代表取締役社長

新卒でカード会社に入社し、その後ネット金融企業に転職。事業開発や経営企画、M&A領域のキャリアを経て、2016年にソフトバンクに入社。PayPayの創業などフィンテック領域の新規事業開発で中心的な役割を担った。22年6月にPayPay証券の代表取締役社長に就任。

番所健児氏(以下敬称略) これまでのNISAは、ネット証券大手に口座が集中する傾向がありました。それが、わずか半年でPayPay証券に30万ものNISA口座が開設された。これは、当社の目指す「投資初心者でも使いやすいサービス」という方向性が、多くの方に支持された証左だと考えています。

――口座開設の入口としては、PayPayポイントを使った疑似運用が行えるポイント運用からNISAを始める人が多いようです。

番所 直近の口座開設者の9割がポイント運用経験者で、口座開設者の70%が投資未経験者というのは、われわれとしても想定以上の結果です。ポイント運用は、現金を使う投資に抵抗がある人にとって、次のステップに進むための良いきっかけになっているようです。

 PayPayの登録ユーザー数は6400万人超ですが、そのうち1700万人がポイント運用を経験しており、多くの方にご利用いただいています。PayPayポイントは「貯める」「使う」「運用する」という3つの選択肢があり、ポイント運用はその一つとして人気を集めています。ポイントの使い勝手の良さ、PayPayアプリ上でのシームレスな連携などが、ポイント運用の魅力を高めていると考えています。