野村総合研究所 執行役員 システムコンサルティング事業本部長の郡司浩太郎氏(撮影:宮崎訓幸)

 野村総合研究所(NRI)は2023年11月、大手企業を対象に実施した「IT活用調査(2023年)」の結果をまとめ、発表した。同調査は2003年から毎年行われており、今回で21回目となる。IT投資やデジタル化などへの取り組みなどを尋ねているが、今回は生成AIに関する質問項目なども加えられている。加速する日本企業のデジタル化の実態はどうなっているのか。NRI 執行役員 システムコンサルティング事業本部長の郡司浩太郎氏に聞いた。

20年超の定点観測に加え、新潮流も探る調査

「IT活用実態調査(2023年)」は日本国内に本社を持つ売上高上位の企業3000社を対象に実施された。これら大手企業のCIO(最高情報責任者)、IT担当役員、経営企画担当役員、IT部門長、経営企画部門長などの役職者が対象で、幅広い業種の459社から回答があった。

 同調査の狙いについて、郡司氏は次のように説明する。

郡司 浩太郎/野村総合研究所 執行役員 システムコンサルティング事業本部長

1990年NRI入社後、産業政策に関するシンクタンク業務に従事、その後コンサルティングとソリューションによる新事業創発活動を経て、産業ソリューション部門と一体となった業務改革、事業戦略、システム化戦略のコンサルティング活動を長年実施。専門領域は、グローバルSCM、流通政策、生産管理、ロジスティクス等。

「『IT活用実態調査』はこれまで20回にわたり実施しており、今回が21回目になります。日本の大手企業のIT部門の投資に対する考え方や、IT化(デジタル化)に当たってどのような課題に直面しているのかといったことを定点観測的に見ることができる調査です」

 過去からのトレンドも把握することができるわけだ。直近ではコロナ禍を経た上での、日本企業の意識の変化なども知ることができる。

 同調査では定点観測的な質問に加え、IT活用の新たな潮流を捉える質問もしている。「今回は生成AIに関する質問項目を新たに加えました」と郡司氏は言う。

 ChatGPTなどをはじめとする大規模言語モデル(LLM)がビジネスの現場に一気に浸透しようとしている。同調査でも多くの企業が導入に前向きであることが分かったという(調査結果については後述)。以下で、各質問項目に対する回答について郡司氏に解説してもらった。