写真:Japan Innovation Review編集部

 国内市場の飽和や縮小を受け、海外進出する企業が増えている。だが、もちろんそれだけで活路が開けるわけではない。世界で売るためのポイントは何か。本連載では、国内外で調味料「クックドゥ」などの事業拡大を牽引した元・味の素マーケターの中島広数氏が、グローバルマーケティングの要諦を実務視点から解き明かした『グローバルで通用する「日本式」マーケティング 元・味の素マーケティングマネージャー直伝の仕事術』(中島広数著/日本能率協会マネジメントセンター)の内容の一部を抜粋・再編集。

 第2回は、ヒット商品づくりの確率を高める3つのポイントについて解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 中国で売れなかった『味の素』の売上が、なぜ10倍に伸長したのか?
■第2回 定番ブランド『クックドゥ』、特売価格「2個で300円」にこだわった理由とは?(本稿)
■第3回 売上が低迷していた「クックドゥ」は、いかにして人気回復に成功したのか?(7月22日公開)
■第4回 『Birdy』がタイの缶コーヒー市場でシェア1位を守り続けている理由とは?
(8月5日公開)

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最初のコンセプトづくりがヒット商品を生むためのカギ

 そもそも、ものづくりの世界というのは「千三つ」という言葉があるように、千の商品をつくったとして大ヒットするのは3つ、つまり成功確率0.3%の世界なのに、企業の中には第1節でご紹介したように最初のコンセプトづくりを飛ばしていきなりつくってしまうところがあります。

 これではせっかく時間やお金、人をかけてつくった製品が当たらないのも仕方のないことです。そんな低い確率のヒット商品づくりの確率を上げていくためには、まずは最初のコンセプトづくりをしっかり行うことが欠かせません。

① 商品コンセプト

 商品コンセプトは、製造業であれ、サービス業であれ、絶対に必要なものです。

 店に行けばたくさんの商品が並んでいて、ネット上ともなれば日本だけでなく世界の商品まで並んでいるわけですが、その中にあって「私はこういうものです」という、人間で言う自己紹介のようなものが商品コンセプトです。

 ポイントは「どういう属性を持ったどういった商品なので、ユーザーであるあなたにとってどのようなメリットがあるか、どんなことができるのかを端的に表す」ことです。

 日本のメーカーは案外これが苦手で、「こういうスペックで、こういう速さです」といった技術的なことはいっぱい書いてあっても、ユーザーから「で、あなたは私に何を提供してくれるの?」と聞かれると、車であれば「安全や燃費です」といった、結局どの会社の車でも言えるようなことしか返ってきません。これでは自己紹介どころか、その他大勢の一人に埋没するだけです。

 ここで求められているのは、「2行程度の短い文章で、シンプルに、ポイントとなる要素を網羅的に説明する」ことです。

 たとえば、私が担当した味の素の『クックドゥ きょうの大皿 肉みそキャベツ』の商品コンセプトはこうです。

「風味の異なる3種の味噌をブレンドして、ほんの少し一味唐辛子を加えて作った、和風合わせ調味料です。ご家庭に常備しているキャベツとひき肉を炒めてソースを合わせるだけで、手軽に、ご飯との相性抜群の和風おかずがつくれます」

 この商品コンセプトに沿って商品開発は進められ、パッケージもつくられていくだけに、ここがしっかりしていれば設計図通りの商品が出来上がります。一方、ここが曖昧だと研究開発者は「どうやってレシピを組み立ててよいか分からない」ですし、実際に「とりあえず試作はしてみたけど、なんかパッとしない」ものになってしまうこともよく起こります。