業務効率化やアイデア創出など、ビジネスでも多目的に活用されている生成AI。日常的な言葉による指示で利用できるため、利便性は極めて高い。とはいえ、その性能を十分に引き出すには「言葉の選択肢とその選び方」が重要だと、生成AI開発に従事する言語学者・佐野大樹氏は語る。本連載では、佐野氏が言語学の知見から生成AIとのコミュニケーション法を考察した『生成AIスキルとしての言語学――誰もが「AIと話す」時代におけるヒトとテクノロジーをつなぐ言葉の入門書』(佐野大樹著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。
第1回は、従来の人工知能との比較により、生成AIの特徴を明らかにする。
<連載ラインアップ>
■第1回 人工知能の歴史を塗り替えた生成AI、社会に与えるインパクトとは?(本稿)
■第2回 「おはようございます」「おは!」「おはyoo」「GM」をなぜ使い分けるのか?
■第3回 「GSP分析」で導き出した、望ましい「プロンプト」の書き方とは?
■第4回 「あれ食べてないから、あそこ行こうか」で、なぜ話が通じてしまうのか?
■第5回 「富士山の魅力を一文で」どんな条件を加えればAIは名作コピーを生成できるか
■第6回 カレーの隠し味のアイデアを、物語調でAIに生成させるとどうなるか?
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人工知能の進化:生成AIの誕生と普及
■生成AIとは?
生成AIは人工知能の一種で、テキスト・画像・音楽などさまざまなコンテンツを作成することができます。
例えば、日常作業では、メールの下書きや文書の校正を手伝ってくれます。旅行や誕生日パーティーのプランを考えたりすることもできます。
ビジネスシーンでは、企画書のドラフト案を作成したり、打ち合わせのメモを文章に書き起こしたり、英語の文書を要約するのに活用されています。また、マーケティング分野では、キャッチコピーや商品の説明を生成AIに読ませ、そこからターゲット層別にアレンジした広告やコンテンツを生成するのに利用されています。
教育分野では、生成AIに英会話学習の話し相手になってもらったりしています。また、授業カリキュラムのアイディア出しをしたり、学習状況に合わせた問題を作成したりする試みも始まっています。
エンターテインメント分野では、SNSコンテンツのタイトルを考えるのを手伝ってもらったり、生成AIを使って作成した書籍、写真集、音楽などが公開されたりしています。
市役所などの公共機関では、生成AIに自治体が持つ情報を学習させて、Q&Aシステムの開発を進めています。医療分野でも、薬や病気の情報などを要約し、チャット形式で答えられるようなシステムが構築されてきています。
このように生成AIは、日常的なタスクから専門的なタスクまで、幅広いシーンで利用が広まっています。