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 モノ消費からコト消費への移行を追い風に、日本のテーマパーク業界で圧倒的な強さを見せる東京ディズニーリゾート。“夢がかなう場所”での体験は多くの消費者の心を捉え、その唯一無二の空間とホスピタリティは、リゾートとその近隣エリアにある6つの「ディズニーホテル」でも再現されている。本連載では、ディズニーホテルの運営会社ミリアルリゾートホテルズを率いるチャールズ・D・ベスフォード氏が自身の考え方を明かした『ホテルの力 チームが輝く魔法の経営』(チャールズ・D・ベスフォード著/講談社)から、内容の一部を抜粋・再編集。ディズニーブランドとその顧客を徹底的に意識した独自の経営スタイルに迫る。

 第4回は、ディズニーホテルにおけるテクノロジー導入のポイントを解説する。

テクノロジー化は「2つの目線」のバランスで進める

 いまの時代、避けられない話題と言えば、IT化(特定の業務のデジタル化)やDX化(企業全体のビジネスのデジタル変革)に代表される、最新テクノロジーへの対応です。

 これはホテル業界だけでなく、あらゆる分野で急速な変革を起こしている重要なテーマですよね。たとえばAIという最新技術に、どう向き合っていくべきか、頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。

 最新テクノロジーの導入は、まさに「顧客目線」と「経営者目線」の「2つの目線」のバランスが肝心になる観点だと思っています。

「経営者目線」で考えてみれば、最新テクノロジーはぜひ積極的に取り入れたいもの。なぜなら、お客さまの利便性が向上するほか、従業員の業務が効率化し、人手不足の解消にもつながるからです。導入にはある程度のコストはかかるかもしれませんが、それ以上の大きなメリットがあります。とくに人員不足が叫ばれて久しいホテル業界においては、最新テクノロジーを使った業務効率化は急務だと言えます。

 ここで、わたしたちディズニーホテルが実践しているIT化の実例をいくつかご紹介しましょう。

 もっとも力を入れているのは、チェックイン、チェックアウトの手続きのオンライン化です。チェックインでは、すでに多くのゲストがオンラインを選択してくださっています。ゲストのスマートフォンを使い、オンラインで手続きを行うことで、フロントで宿泊台帳を記入することもなく、お部屋に入ることができるのです。