Tang Yan Song/Shutterstock.com

 圧倒的な成果を上げるために、本当に注力すべき重要指標(KPI)とは何か?本連載は、ロングセラーのマーケティング入門書『ドリルを売るには穴を売れ』の著者が、“顧客に刺さる”マーケティング戦略のつくり方と追うべきKPIについて徹底的に掘り下げた顧客の「買いたい」をつくる KPIマーケティング』(佐藤義典著/朝日新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。

 第2回は、顧客に選ばれるためにとるべき「2つの方法」について、ハーゲンダッツを売ることを例に挙げて解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 「ドリルを売るには穴を売れ」マーケティングの大家・レビットの真意とは?
■第2回 ハーゲンダッツを売るには、何を「強み」として、どう伝えればよいか?(本稿)
第3回 10年間で販売個数が約6倍、「ウタマロ石けん」の独自のマーケテイング戦略

第4回 製品の「強み」を顧客に伝え切る、ウタマロ石けんの戦略の「急所」とは?
第5回 「売上を増やせ!」と叫ばなくても、必然的に売上がアップする方法とは?
※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。

<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者フォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
会員登録(無料)はこちらから

■「あなたから買いたい」を作る2つの方法とその指標

 お客様に「あなたから買いたい」と思っていただくためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

「あなたから買いたい」と思っていただくための2条件
①「強み」(あなたから買いたい理由)が実際に存在する
②「強み」(あなたから買いたい理由)がお客様に伝わっている

 ですから、「あなたから買いたい」を作る方法は次の2つになります。

「あなたから買いたい」を作る2つの方法
方法1: 自社の商品・サービスの「強み」を作る・強化する
方法2:「強み」をお客様に伝え切る

方法1:商品・サービスの「強み」を作る・強化する

 これには、例えば独自の魅力を持つ商品・サービスを開発する、その開発に向けて研究開発を行う、価格競争力を磨く、などが含まれます。

方法2:「強み」をお客様に伝え切る

 これには、例えば独自の魅力をCMやウェブ媒体(ホームページやYouTube など)、パッケージ、展示会、営業担当者のプレゼンテーション、などの各種媒体を通じて「メッセージ」としてお客様にわかりやすく伝える、などが含まれます。

 例えば、人気のアイスクリーム、ハーゲンダッツでそれぞれについて考えてみましょう。「ハーゲンダッツを買いたい理由」=「強み」は、「コクのある濃厚な甘みとおいしさ」でしょう。ハーゲンダッツ(バニラ)の乳脂肪分は15%と競合よりも高く、それが競合にはない「コクのある濃厚な甘みとおいしさ」を提供できる1つの要因となっています。

 ですから、ハーゲンダッツで言えば、

  • 「強み」を作る:「コクのある濃厚な甘みとおいしさを持つアイスクリームを作る」
  • 「強み」を伝え切る:「コクのある濃厚な甘みとおいしさを伝え切る」

となります。

 お客様の「あなたから買いたい」理由である「強み」を作り、「強みを伝え切る」ことがマーケティングや営業の目的です。「ブランディング」と呼ばれるようなことも、結局はいかに「あなたから買いたい」という意識を短期的・長期的にお客様に持っていただくか、を目的としています。