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2023年5月15日、新たな中期経営計画を発表したみずほフィナンシャルグループ。「DXを強力に推進し、お客さまの利便性をより一層高めていきたい」と語るのは、同社の副社長であり、グループCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を務める梅宮真氏だ。LINE Bankの開業に向けたプロジェクトの中止など、アライアンス面での課題を乗り越え、いかにして成長を実現していくのか。みずほFGのDXに関する課題認識と今後の戦略を聞いた。
ライフスタイルの変化、規制緩和、フィンテックの台頭など、金融機関の経営環境は激変の一途。今やDXによる変革は待ったなしです。金融業界におけるDXキーパーソンへのインタビューにより、DX戦略の全体像から、データ活用、CX、カルチャー変革、デジタル人材育成まで、金融DXの最新の事例を取り上げます。
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中期経営計画に掲げる、デジタル領域の注力テーマとは
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2017年にグループCFOに就任し、財務戦略、財務・税務、IRを統括。2022年にはCFOに加え、デジタル・イノベーション分野も統括し、2023年からはCDOとしてデジタル戦略を担当。新規事業開発のBlue Labの代表取締役社長も務める。他にみずほ銀行 副頭取執行役員 / みずほ信託銀行 副社長執行役員を兼務。
――5月15日に発表した新しい中期経営計画(2023~25年度)では、「DX推進力の強化」をはじめとした、デジタル領域の項目が多数掲げられています。これまでの計画との違いや、強化したいポイントを教えてください。
梅宮 真氏(以下敬称略) 今回の中期経営計画では、デジタルが関係するテーマが3つあります。なかでも重視しているテーマが「顧客利便性の徹底追求」です。
今回の中期経営計画を策定する際の議論の中でも、競合企業と比べてみずほの顧客利便性は決して高くないといった点が、強い問題意識として挙げられました。
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最近よく言われる「顧客体験価値をいかに向上するか」という観点からすると、「顧客利便性の徹底追求」は以前から議論され続けてきたテーマです。しかし、今みずほが置かれている状況から判断すると、体験価値の前に、まずは利便性を徹底的に追求していく必要があると考えています。それを支えるのがデジタルです。
次に、「サステナビリティ&イノベーション」です。われわれは、今回、新たにパーパスとして「ともに挑む。ともに実る。」を掲げました。法人のお客さまであれば、ともに新しい事業を大きく育てていきたい。個人のお客さまであれば、それぞれが描いている人生に寄り添っていきたいと思っています。それを実現するにはイノベーションが大事になりますし、それを支えるものとしてデジタルがあると認識しています。
最後に「DX推進力の強化」です。ここはDX人材の育成ですとか、データの利活用を促進するためにデータの在り方を変えていくということです。
――顧客利便性を特に重視されたいとのことですが、具体的に改善していきたい点はどこでしょうか。
梅宮 例えば、個人のお客さま向けに「みずほダイレクト」というアプリがあり、ご来店されることなくスマホで取引が完結できるようになっています。こうしたアプリの動線、つまり「クリックが1つ2つ多い」といったところも1つの課題です。
また、海外送金では、まだWeb上で完結させることができない状況です。こうした取引が他社に比べて少し多いので、来店しなくても完結できるものを作っていきたいと考えています。