大手でレジレス店舗が多いのがアマゾンだ。写真はアマゾンフレッシュ ニュージャージー州パラマス店の青果売場。〔出典〕平山撮影

 日本が2年間のコロナ鎖国の間に、アメリカではレジレス店舗がどんどん増えていた。もはや「天井からカメラが私を見ているなんて・・・」などとナーバスなことを言っている場合ではない。米国では顧客側の利便性もさながら、小売店舗経営上のメリットが徐々に実証されている。

技術別では3種が実用化

 まず各社の米国内でのレジレス店舗状況を見てみよう(図表)。あらかじめお断りしておくが、この図表は筆者が広報資料やソーシャルを含むメディア報道を手作業で集計しているものなので、全部を漏れなく網羅しているとは限らないが全容は推測できるだろう。

 大別してレジレス技術では現在、3タイプが実用化されている。(1)アマゾンのジャストウォークアウト(JWO)システムのような天井や什器にカメラ、センサー等を取り付ける店内設置型、(2)ショッピングカートにカメラ、センサーやスクリーンを設置するスマートカート、(3)カメラ、センサーを小型のフレームに設置し、商品をその台に乗せるカウンター型、だ。

 どれもコンピュータービジョンや機械学習等を使って商品を認識して課金する。従来、(1)と(2)が市場に出回っていたが、今年2月に米国リテールDX「注目のスタートアップ企業」』の記事で紹介した、(3)のマッシュジンがコンビニチェーンのサークルKと契約し、向こう3年間に7000台を全米店舗に導入すると発表、さらにレジレス化が市場に浸透しそうだ。

マッシュジンのレジレスカウンター。全米小売業協会2022エクスポより。〔出典〕平山撮影

 このマッシュジンの数字を除くと、米国内では現在、店内設置型が163店、スマートカートが49店、カウンター型が約800店となる。カウンター型の数字はほとんどマッシュジンが2020年以降にサークルK他のコンビニチェーンやアリーナ、空港内売店等に設置してきたもの。従来の店舗設置型、カート型をリードしているのはアマゾンで、10月現在、メディアに報道されているだけで96店舗はある。