株式会社アイスタイル 坂井亮介氏 メディア・店舗・ECを統合したプラットフォーム事業セグメントの顧客体験事業ユニット副ユニット長 兼 販売販促事業ユニット副ユニット長として、@cosmeの小売りDX推進を担当し、ブランド向けソリューションを統括している。株式会社アイスタイルキャリア、株式会社アイスタイルリテールの取締役も務める。

ユーザーとブランドをつなぐために「リアル」を大切にする

――業務内容と化粧品業界の状況、最近の事業トピックについてお聞かせください。

坂井 アイスタイルは、美容に関する情報を蓄積したデータベースを活用してビジネスを展開しています。データベースには、美容の総合サイト@cosmeをはじめ、化粧品専門EC@cosme SHOPPING、リアル店舗@cosme STORE、@cosme旗艦店@cosme TOKYOなどがあり、ネットとリアルを融合している点が特徴です。私は、メディア・店舗・ECを統合したプラットフォーム事業セグメントの顧客体験事業ユニットや販売販促事業ユニットを担当しており、主にリアルを中心としたお客さまとの出会いに関する仕事をしています。

 化粧品業界は、リアルの比率が高い市場です。EC化も進んではいますが、肌に直接つける商材なので、自分に合うかどうかということが重視され、また、商品がとにかく多いということなどが理由にあります。今でも新しいブランドが毎月100件くらいは出ていますが、継続が難しくなってしまうブランドも多くあるのが実情です。

 最近のトピックとしては、今述べたことがいろいろと絡み合う中で、インターネットによってユーザーにモノや情報が届きやすい環境になったために、いわば情報爆発が起こって、どこでも何でも買えるようになったということがあります。実際に、われわれの店でしか手に入らないもの、われわれのECでしか入手できないものはほぼ存在しません。

――アイスタイルのデジタル活用状況、 DXへの取り組みについてお教えください。

坂井 大きなシステム投資をしているわけではありませんが、経済状況、コロナ禍の状況の変化に伴い、商品の届け方やユーザーの楽しみ方が変わってきていることを受けて、デジタルの仕組みを取り入れながら変えるべきところを変えています。

 主にユーザーの店頭体験を可視化し、それを価値化していくということを進めていますが、今、われわれが掲げているのは「co-store戦略」というものです。これは一言でいえば、ブランドと店舗が協力してユーザー体験を創出するというものです。

 先ほど述べたように、ECの拡大以上のスピードで、情報がデジタルに集中している状況にあります。そうした中、ブランドが新しいユーザーと出会うことのコストも難易度も上がっている。

 それに対して、われわれはユーザーには商品データ、ブランドデータを、ブランドには行動データ、口コミデータなどを提供して、両者をつなげていくビジネスを展開しています。最近は改めて「リアルの重要性」を見直して、これまでの小売りのイメージにない「試す」とか「出会う」という要素をうまく取り入れられるように、ある種のDXを推進しています。

 DXの定義ということになってしまうかもしれませんが、私が思っているDXはデジタルツールがどんどん出てくるような話ではなく、顧客体験とビジネスモデルをアップデートするための手段としてあるのだと認識しています。また、基本的にリアルとデジタルはつながっていると考えています。今回お話しするのはリアルの部分が多いのですが、われわれはリアルをきっかけとした、もしくはリアルとデジタルをつなげていくような体験を目指しています。