マクドナルドの店舗(写真:森田直樹/アフロ)

 いまや子どもから年配者まで誰もが食べる「国民食」となったハンバーガー。これを日本に持ち込み、全国津々浦々にまで広めたのが、日本マクドナルドの創業者・藤田田(ふじた・でん)氏だ。1号店がオープンしたのは1971年。それから半世紀が過ぎ、日本の食文化は大きく変わった。

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2023年12月5日)※内容は掲載当時のもの

「必ず失敗する」と言われていたマクドナルド1号店

 世界経済を牽引するメガプラットフォーマー「GAFAM」。その多くの創業者がユダヤ系だ。グーグル創業者のラリー・ペイジ、アップル創業者のスティーブ・ジョブス、メタ(旧フェイスブック)創業者のマーク・ザッカーバーグ、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、いずれもユダヤ系アメリカ人だ。このことからも分かるように、ユダヤ人のビジネスセンスは天才的だ。

 今では日本にも多くのユダヤ人が暮らし、また訪れているが、5、60年前までは、ほとんどの日本人はユダヤ人に接したことがなかった。ところがシェイクスピアの「ベニスの商人」はよく知られており、そのため「ユダヤ人は優秀だけど金の亡者」とのイメージが刷り込まれていた。

 そんな時代に自ら「銀座のユダヤ人」を名乗っていたのが、「日本ファストフードの父」である日本マクドナルド創業者の藤田田氏(1926─2004)だ。