デジタルツール導入のポイントは、ツール間の連携による効率化
――事業概要や主力プロダクトについてお聞かせください。
服部 当社はプロジェクト管理ツール、課題管理システム「Jira(ジラ)」シリーズや、企業向けコラボレーションツール「Confluence (コンフルエンス)」などのアトラシアン社製品のほか、アプリケーション連携の「Workato(ワーカート)」や、コミュケーションツールの「Slack(スラック)」などを扱っています。最近はDXの潮流もあって企業のクラウド活用が進んでいますので、各種ニーズに応えるツールを提供しています。ありがたいことに大手企業様を中心に、ますます需要の広がりを感じているところです。
弊社では、DXの取り組みを後押しするため、各種SaaSをラッピングしてより便利に使える当社独自のプラットフォームとして、「D-Accel(ディー・アクセル)」というものも提供しています。
――ご自身のこれまでのバックグラウンドをお聞かせください。
服部 私の社会人生活は、ソフトウエア・エンジニアとして愛知県でスタートしました。カーナビや携帯電話などに組み込むソフトウエアの開発に携わってきました。そして、20代の終わりくらいに独立起業して、プロジェクト管理ツールなどのシステムを顧客向けに開発していました。
ある日、お客さまから、これまで独自で開発していたプロジェクト管理ツールをJiraに乗り換えたいと相談を受け、自分としてはソフトウエア開発の仕事がなくなってしまいますが、お客さまの価値向上のためになるならと、Jiraの導入を支援することにしました。そのときに来たのがリックソフトの代表取締役である大貫(浩 氏)で、お互いに協力し、情報交換をしながら、お客さまのJira運用を進めていきました。
その後、自身でもアトラシアンのパートナーになって、中部地方のお客さま向けにアトラシアン社製品を提供していました。何年か経過してまた大貫がやってきて「服部さん、将来のためにも一緒にやりましょう」と2016年にジョインすることになりました。今は取締役・西日本支社長として、経営側と執行側の間をつなぐ役割をしています。
――リックソフトは顧客のDXを支援する立場だと思いますが、社内はデジタル活用が進んでいるのでしょうか。
服部 当社ではJiraやConfluenceなどアトラシアン社製品を社内でも使っていて、全社員が全部同じツール上で情報共有や、タスク管理をしています。そういう意味で言うと、かなり前からデジタル活用はできている状態でした。私たちの使命は、価値あるツールを広めてお客さまの組織に俊敏さをもたらすというものですので、お客さまに提案するツールもまず自分たちで使ってその価値を理解する必要があります。
Jiraはワークフロー、Confluenceはコミュニケーション・コラボレーションのツールです。ITリテラシーや習熟度に関係なく使えるツールですし、業務フローにこれらツールの利用が組み込まれていますので、誰もが普段の業務に使っている状況にあります。2020年のコロナ禍で在宅勤務に移行した企業は多かったと思いますが、そもそもJiraもConfluenceもWebブラウザがあればどこにいても使えますので、弊社は特に投資することなく、また従業員の混乱もなく、事務的なルールを決めるだけリモートワークに移行できました。
――さまざまなツールを活用されていると思いますが、導入の際に社内に混乱は生じないのでしょうか。
服部 ルールを決めて運用することが重要です。特に注意が必要なのは、利用するツール同士の連携です。次の業務フローとのつながりを意識しないと、ツールが増えていくばかりで手間も増えていく場合があるからです。
例えば、SFA(営業活動支援)ツールを使っていて、コミュケーションはSlack、タスク管理はJiraを使うとします。この場合、SFAを参照して、その情報をもとにSlackでタスクを割り当てるためのコミュケーションをして、それを受け取った人が自分のタスクをJiraに書き込むと、それぞれのツールを開いて入力しなければなりませんね。それだと効率が悪いです。
ツールが連携していれば、SlackのチャンネルでSFAのデータを参照してそのままJiraタスクのチケットを発行するということができます。タスクを発行する人はSlackだけ見ればよく、タスクを受け取った人はJiraだけ見ればよいわけです。このようなシームレスな連携を念頭に置いたルールを決める必要があります。