子連れ出勤だからこそ、仕事には責任を持つ

店頭でも抱っこひもスタイルで働くスタッフ

ただし、自由には責任も伴う。モーハウスの「子連れ出勤に関するルール」では、冒頭に以下の意義を掲げる。

“当社は子供を連れて出勤し、職場においても子供を託児所等に預けることなく、職場内で親と一緒に過ごすことを認めています。これは、小さな子供がいる方であってもそれが原因で社会復帰がなかなかできにくい方を少しでも支援したいという会社の理念があるからです、しかしながら、子供を連れて出勤することによってお客様や他のスタッフに迷惑がかかったり、業務に多大な支障が出るようでは、せっかくのこの制度も存続することが不可能となってしまいます。そこで、子供を連れて出勤するスタッフはルールをしっかりと理解した上で、この制度を大いに利用してください。”

 会社は、あくまでも「仕事をする場所」だ。子どもを連れて来たからといって仕事が疎かになってはいけない。例えば、会議中に子どもが泣き出した際、会議だからと座ったままで子どもを泣かせっぱなしにするのは好ましくない。泣かないように授乳しながら参加する、その場で立って子どもをあやしながら参加することは認められる。

 また、モーハウスは、子ども自身の安全管理や監督義務は仕事中でも親にあると考えている。仕事に専念するあまり、子どもから注意がそれて子どもがけがをする、お客さまや他のスタッフに迷惑をかけることはあってはならない。万が一、会社の商品や備品等を損傷した場合に備えて、損害保険への加入も促す。

 光畑さんの講演・研修先では、子どものいる女性社員にどう接すればよいか悩み、過剰に配慮しなければいけないと考える管理職も多い。そのたびに光畑さんは、女性社員に合わせるよりも、彼女たちが働き続けられる環境を作ることが大切だと語る。

『APEC女性と経済フォーラム』で日本代表としてプレゼンテーションする光畑さん(2014年)