組織として独立させることで、優先順位高く取り組んできた
「おもしろおかしく」を社是に掲げ、1980年代より一部週休3日制を導入。1990年代からはグローバル化が加速するなど、働き方やダイバーシティの在り方が進化し続けている堀場製作所(以下、HORIBA)。
2013年、マネージャー登用研修の受講中に森口氏が提言したことがきっかけとなり、「性別・年齢・国籍・障がいなどを乗り越えて、多様な個性・才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現する」をミッションに掲げたダイバーシティ推進プロジェクトが、2014年にスタートした。
森口氏は、「まだまだ2000年代は、育児休業を取った後に働き続ける女性は少数でした。おそらく多くの日本企業が、次世代育成支援対策法などで会社の制度は手厚くなってはいたものの、ではその先どうするのか、という壁に当たっていたと思うんですね。私自身も当時、短時間社員として働き、子育ても仕事も中途半端ではないか、と悩んでいたとき、外資系企業の方に話を聞く機会がありました。“短時間社員として勤務している人が働きやすくなる、また、キャリアを積んで会社に貢献できるようになるためには、会社が変わるのを待っていては駄目だ。当事者が意思決定の場に増えないと組織も社会も変化しない”というお話を伺ったことが、私が声を上げる一つのきっかけになりました」と、当時を振り返る。
その後、2017年に「ステンドグラスプロジェクト推進室」として組織化されるまで、約3年間ボトムアップで活動をした。その間、社内におけるダイバーシティの考え方の啓発や、社外で学びの場を設けるといった活動のほか、実際に社員の声を拾うことを目的としたワークショップを経営陣と開催するなど、森口氏はダイバーシティ課題の意識改革に努めた。
「ステンドグラスプロジェクト」は、従業員一人一人を色も形も大きさも異なるステンドグラスのピースに、また会社をステンドグラス全体の美しい絵に例え、ダイバーシティ推進を行うプロジェクトである。その取り組みをリードする「ステンドグラスプロジェクト推進室」は、取締役直下の組織であるということを特徴の一つとしている。経営層と現場の従業員、人事部門の思いが一方通行にならないよう三者をつなぎ、同じ思いを持って活動を進めていく役割を担っている。
森口氏は、「多くの企業は、人事部門の中にダイバーシティを担当する組織があると思います。HORIBAも将来的には人事施策として統合していきたいと思いますが、2017年時点では組織として独立させることで、優先順位高く取り組んでいきたいと。もちろん、私たちからの提案でもありましたが、経営層も同意見でした。ダイバーシティは最新の中長期経営計画にも盛り込まれていますが、当時から経営戦略の重点政策としてステアリングコミッティを設置し、より迅速にプロジェクトが進行できるようにしました」と、ダイバーシティを組織として推進することのメリットを語った。
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