※本コンテンツは、2021年3月17日に開催されたJBpress主催「第5回 ワークスタイル改革フォーラム」Day1の特別講演「毎年進化するカゴメの“生き方改革”とこれからの人事制度の在り方 ~新型コロナウイルス時代へのあるべき対応~」の内容を採録したものです。

カゴメ株式会社
常務執行役員CHO(最高人事責任者)
有沢 正人氏

中期経営計画に盛り込まれた改革案「ジョブ型人事制度」

 有沢正人氏は“HRのプロ”として2012年にカゴメへ入社した。それまでは1984年に入行した協和銀行(現りそな銀行)で営業・総合企画・人事を担当。その後はHOYAで人事・戦略最高責任者、AIU保険で人事担当執行役員を務め、カゴメでは19年にCHO(最高人事責任者)となった。

 有沢氏が入社した頃、カゴメでは2013年度からの中期経営計画「Next50」を策定していた。その時、重点的に取り組んでいく象徴的な5つの課題“Symbolic5”を設定したが、その1つが「人事評価、人材調達・育成、ダイバーシティに取り組むグローバル人事制度の導入」、すなわち旧来の人事制度を廃止して行う「“ジョブ型”職務等級人事制度」の導入だった。そして、3つの課題に対応した次の施策を打ち出した。

①人事評価
・役員評価
・報酬制度の導入
・新人事評価制度の導入(共通コンピテンシー、BSC※視点の導入)
・グローバル・ジョブグレードの導入(職務・責任の重さに応じた基準値で処遇を決定)
※BSC=バランススコアカード(著名ビジネス誌で発表された業績評価システム)

②人材調達・育成
・採用の多様化(国籍・キャリア)
・コース別人事制度→後にテーラーメード型人事制度へと進化
・交流型人事、早期海外経験
・グローバルリーダーの育成

③ダイバーシティ
・多様な人材の登用
・女性役員・管理職のモデルケースづくり
・グローバル間の異動(海外から日本へ)

 同社のジョブ型人事制度プロジェクトは「フェーズ1:役員人事制度の構築」「フェーズ2:グローバル人事制度の構築」「フェーズ3:運用の仕組みの開発・充実」の順で行われた。

 その要諦について有沢氏は「まずはトップから変え、その後、ハード部分の構築、ソフト部分の拡充に着手し、外(海外)へも同時に導入したこと」と語る。

 そして「『年功型』から『職務型』等級制度への移行。より業績・評価と連動した報酬制度への改革。メリハリを付けた明確な処遇の実現。この3つがポイントです。仕事の成果・価値が明確になり、健全な競争意識の下で抜てき人事が進むことで、組織と個人の成果最大化と、グローバルで勝てる事業推進体制の構築を目指しています」と話す。