百貨店がカバーしきれていない店舗がある

 JFRカードがまず取り組むのが、キャッシュレスの環境整備。各種金融サービスを展開するGMOペイメントゲートウェイの「GMO-PG プロセシングプラットフォーム」を導入し、クレジットカード、QRコード決済、電子マネーなどの決済ソリューションを提供することにした。加盟店はどのソリューションを利用するのかを自由に選べ、各ソリューションの営業窓口も一本化が可能であるため、業務の効率が図れる。端末もバラバラに設置するのではなく、1台で全てに対応するオールインワンの端末を各加盟店に設置する。

 これにより何を目指すのか。和田氏は「『どこで、誰が、どれくらい』といった利用データが蓄積していくので、百貨店も周辺店舗も顧客がどういった動きをしているのかを理解できるようになります。JFRカードの加盟店になっていただくことで、より細かく顧客の動向が分かるようになるので、その効果を感じていただけると思っています」とメリットを語る。

 このように、顧客が購入する商品の傾向、価格帯や時間帯など特徴が分かれば、JFRグループも加盟店もよりピンポイントでのマーケティングやプロモーションをタイミングよく行え、売上げ向上の可能性が高まるが、データのどのようなところに注目するのか?

 橋本氏は「例えば、百貨店内のレストランとその周辺の加盟レストランとでの客単価の比較です。こちらの利用があるのに、あちらでは利用がない場合、そうしたお客さまにアプローチをしていくイメージです」と、データを加盟店への送客につなげていく。

 百貨店などは1カ所でさまざまなものを買えるので、その後、周囲の小さな店へは足が遠くなってしまうかもしれないが、橋本氏は「百貨店では補いきれていない分野もあります。レストランは百貨店の上階にあるだけで、全ての飲食店の形態をカバーできていませんし、美容室、施術系といった美容関係もたくさんはありません。補完関係になることで、百貨店の後に、加盟店に立ち寄ってもらうという流れはできると思っています」と考える。