アマゾン ロゴ(写真:ロイター/アフロ)
米アマゾン・ドット・コムが米国で大規模小売店を複数出店する計画だと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。衣料品や日用品、電子機器など様々な有名ブランドの商品を取り扱う店で、百貨店のような運営形態になると事情に詳しい関係者は話している。
店舗面積は約2800平方メートル。一般的な百貨店の3分の1ほどになる見通しで、アマゾンが現在運営する他の実店舗よりも広い。ただし、計画は最終的なものでなく、変更される可能性もあるとしている。
当初、米オハイオ州や米カリフォルニア州に開店し、アマゾンのプライベートブランド(PB)も販売する計画だという。同社は衣料品や家具、乾電池、電子機器などのPB商品を手がけている。
新業態店でアパレル販売拡大か
同社は最近、衣料品分野で業績を伸ばしている。米銀大手のウェルズ・ファーゴによると、アマゾンは米国最大の衣料品小売業者。2020年の衣料品と靴を合わせた販売額は前年比15%増の410億ドル(約4兆5100億円)だった。21年は同約10%増の450億ドル(約4兆9500億円)超になるとウェルズ・ファーゴはみている(米マーケットウォッチの記事)。
アマゾンは高級ブランドの販売にも力を入れている。20年には米国で高級ファッションデザイナーの商品に特化したアプリ内ストア「ラグジュアリー・ストア」を開設。第1弾としてオスカー・デ・ラ・レンタの既製服やハンドバッグ、宝飾品、香水などを販売した。その後、アマゾンと提携した高級ブランドは多くない。だが同社はこの分野への投資を拡大している。今回計画している新業態店舗もアマゾンのアパレル販売拡大につながる可能性があると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
実店舗の狙いは「行動や心理の把握」
新型コロナウイルス禍の外出控えで実店舗は打撃を受けている。だが、来店客数を計測する米ショッパートラックによると、米小売店への客足は徐々に戻りつつある。アマゾンの実店舗もこうした影響を受けた。同社実店舗の売上高は20年に5%減少した。ところが21年4~6月期は41億9800万ドル(約4610億円)となり、1年前から11%増加した(アマゾンの21年4~6月期決算資料)。
一方で、米国の百貨店は近年相次いで経営不振に陥った。例えば、米シアーズ・ホールディングスと米JCペニーは、18年10月と20年5月にそれぞれ米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した。米老舗百貨店のロード・アンド・テイラーも20年8月に、米高級百貨店のニーマン・マーカスも20年5月に同11条の適用を申請した。
米コンサルティング会社のカスタマー・グロース・パートナーズによると、1世代前、米国の小売売上高(自動車、ガソリン、外食を除く)に占める百貨店の売上高は約10%だった。21年は8月時点で1%未満にとどまっているという。
こうした中、アマゾンの幹部は実店舗を「顧客との関わりを深める場」と捉え、計画を進めている。「消費者の行動や心理を把握し、新たなショッピング体験を提供する」ことが同社の狙いだとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
書店や食品スーパー、コンビニ、美容室
米ニューヨーク・タイムズは先ごろ、アマゾンの世界流通総額(GMV)が、米小売り最大手のウォルマートを初めて抜いたと報じた。21年6月末までの1年間におけるアマゾンの流通総額(GMV=Gross Merchandise Value)は6100億ドル(約67兆円)だった。ますます巨大化するアマゾンに対抗するべく、ウォルマートなどの小売り各社も電子商取引(EC)事業の強化を図っている。
その一方で、アマゾンは実店舗へ投資を拡大している。同社は15年に本社のあるワシントン州シアトルに対面販売方式の書店「Amazon Books」を開店し、リアル店舗事業に進出した。17年には高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収。このほか、コンビニエンスストア「Amazon Go」や食品スーパー「Amazon Go Grocery」「Amazon Fresh」、ネットの売れ筋商品をそろえた「Amazon 4-star」、美容室「Amazon Salon」などを展開。レジなし決済や手のひら認証などの最新IT(情報技術)を導入した店舗を増やしている。
(参考・関連記事)「アマゾン、ついに流通総額でウォルマート抜く | JDIR」






