ショッピングセンター運営などを行うパルコで「店舗のデジタル化」を推進するのが、同社執行役グループICT戦略室担当の林直孝氏だ。経営の視点で組織のデジタル変革を実践するCDO(Chief Digital Officer)の役割を担っている。IoT、ロボット、AIなど使い、パルコが仕掛けるさまざまなデジタル施策と、その背景にあるビジョンについて、林さんにうかがった。 

 聞き手は、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島勢理さん。

顧客コミュニケーション改革のプロジェクトからスタート

――まず林さんが担当されているグループICT戦略室、そして林さんご自身の役割をお教えください。

 そのためには、これまでの経緯を追ってご説明した方がいいでしょう。

 そもそもは2012年春にスタートした「WEB戦略プロジェクト」が最初と言えます。経営陣から、お客さまとのコミュニケーション手法が変わってきているのではないか、という指摘があったことがきっかけです。デジタルネイティブな人たちが部門横断で集まって、パルコに必要な顧客コミュニケーション改革の計画を年内にまとめました。

 私はそのとき経営企画室にいて、そのプロジェクトの事務局役を担当していたんです。それで翌年にその計画を実行するための独立した組織「WEBコミュニケーション部」ができたときに部長に任命されました。