組織のデジタル変革を経営の視点で推進する役割を担うCDO(Chief Digital OfficerまたはChief Data Officer)。世界的に見るとこの肩書きを持つ人はこの数年でかなり増えたが、国内ではまだなじみが薄い。
CDOがどのような役割を担い、どのような働きをしているのか。実際のCDOに直接お話をしていただくのが一番だ。今回は、エンターテインメント企業LDH Japanの執行役員CDOである長瀬次英さんにお話をうかがった。
同氏は2018年8月、つまりインタビューの直前に転職されたばかり。それまでは、化粧品メーカーの日本ロレアルでCDOを務めていた。2015年にデジタル戦略統括責任者/チーフデジタルオフィサー(CDO)として同社に入社し、「日本で最初のCDO」と言われている。トップランナーのCDOとしてこれまで取り組んだこと、デジタル化の推進に必要なこと、今回転職した理由などをお聞きした。
聞き手は、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島 勢理さん。長瀬氏は、CDO Club Japanが表彰する「Japan CDO of The Year 2017」の受賞者でもある。
デジタル化によって価値を創造するのがCDO
――長瀬さんは、CDOという役割をどのように捉えていますか。
長瀬次英氏(以下敬称略) ひとことで言うとデジタル化の旗振り役です。eコマースを伸ばすとか、Webサイトをどうするかとか、ソーシャルを盛り上げるとか、そういうことだけではなく、その企業のビジネスのすべてにおいてデジタル化を促す役割だと考えています。なので、スコープはほぼCEO(最高経営責任者)と同じで、ビジネスを俯瞰しているポジションだと考えています。
どのツールを入れるとかはどうでもいい話で、デジタル化を促進する中でいかに価値を創造していくかが重要だと思います。