組織のデジタル変革を経営の視点で推進する役割を担うのがCDO(Chief Digital OfficerまたはChief Data Officer)だ。企業の情報システムや経営における情報を管理するCIO(Chief Information Officer)とは異なる人物が担うことが多い。
そのなかで、三菱自動車執行役員の車真佐夫氏はCIOの肩書きを持ちながら、CDOの役割も果たしている。両者の役割を兼務する車さんに、その利点と課題をうかがった。
聞き手は、デジタル分野における経営陣コミュニティ「CDO Club Japan」理事の鍋島 勢理さん。
大変革が起ころうとしている
――自動車業界において、デジタル化としてはどのような動きがありますか。
いま、自動車業界は100年に一度、あるいは業界始まって以来というような大変革が起ころうとしています。
それには二つの面があって、まずEV(電気自動車)化をはじめとするハードウェアの進化という動きがあります。一方で、「車を使った“モビリティ”というサービス」の流れができてきています。モノとしてのハードウェアと、コトとしてのサービスがある、というわけです。
サービスだけをやられている会社も多くありますが、私どもはハードウェアも手掛けています。モノとコトとの両面から、どうやってアプローチするかが当社のチャレンジです。
――その中で、車さんの役割というのはどのようなものでしょうか。
私が入社したのは2016年です。当社が基幹系システムを刷新する際に、その経験があるということでお話をいただいたという経緯で、肩書きとしてはCIO(最高情報責任者)です。企業を効率的に回すための基幹となるITをしっかりやっていく、というミッションです。