※本コンテンツは、2021年3月23日に開催されたJBpress主催「第3回 リテールDXフォーラム」の特別講演Ⅱ「丸井グループのDX戦略」の内容を採録したものです。
※数値、役職などはすべて2021年3月23日現在のものです。

株式会社丸井グループ 副社長執行役員
日本小売業協会CIO研究会 座長
繊維産業流通構造改革推進協議会 理事
佐藤 元彦氏

レガシーシステム刷新で“攻めのIT投資”が可能に

 1931年に家具の月賦商として創業した丸井グループ。グループ傘下の事業会社は小売事業、フィンテック事業、空間プロデュース・商業・広告事業、トータルファッション物流事業/ネット通販サポート事業、情報システム事業、総合ビルマネジメント事業、不動産賃貸事業、債権回収事業、少額短期保険事業、証券事業、D2C共創事業、グループ会社サポート業務など多岐にわたり、社員数はグループ全体で5000人を超える。

 小売事業(株式会社丸井)のマルイ・モディは関東を中心に東海・関西・九州に23店舗を展開。フィンテック事業(株式会社エポスカード)の会員数は700万人以上、取扱高は2兆7600億円に達する。

 同社は創業以来、小売業界をけん引する形でフィンテック事業、小売りのオムニチャネル戦略、そしてIT活用を推進してきた。丸井グループの副社長執行役員の佐藤元彦氏は、これらの先進的な取り組みについて「お客さまニーズを深掘りしながら愚直に対応してきた結果」「結果的にオムニチャネル戦略が出来上がった」と語る一方、オープン化によって進めた「レガシーシステム刷新」については、 戦略的に行ってきた取り組みであることを強調した。

 同社は2002年よりメインフレームのオープン化に着手した。その後、2004年から2005年に営業系システム、2006年にカードシステム、2010年に通販システムの再構築(オープン系システムへの全面移行)を次々に実施している。

 これらオープン化前後を比較すると、システム運営費の構成比率は85%から70%に低減。対して年間システム開発件数は、約70件から約230件に増加している。

「構成比率で削減した分は、他の戦略的投資に回すことができました。レガシーシステム刷新を早期に行ったことにより、攻めのIT投資が可能となり『2007年問題』や『2025年の崖』も克服してきました」