外部との共創により体制刷新、人材育成にも効果を生む
システム開発・運営にかかる構成比率を下げながら、開発件数を伸ばした秘訣は、開発体制の刷新にある。
もともと丸井グループでは、1984年設立の子会社 株式会社エムアンドシーシステムが同社の情報システム事業を担う“完全自前主義”だった。しかし、オープン化を機に、開発担当社員140人と外部の常駐エンジニア100人の共創による“ハイブリッド型”内製に移行した。システム開発案件において同社社員が担当するのは要件定義・概要設計まで。システム設計・開発は常駐エンジニアが担当、テスト検証を再び、社員が行う体制を敷いている。
これにより人材育成の方針も変わった。
「当社の場合、基本的には一括採用で入社後は、全員が小売事業に従事します。その後、2〜3年を経てから毎年50人程度をエムアンドシーシステムに配置転換し、そこでIT部門を経てから、グループの各事業会社へ配置します。こうした職種変更によって、グループ全体のITリテラシーを高めるための戦略的な人材育成を行っております。こうした積み重ねが見える一例として、RPAを2年間でグループ40部署への導入し、2020年度はトータル13万時間の作業時間削減につながりました」
ここまで丸井グループのDX戦略について解説した上で佐藤氏は、「DXはITが全てではない。ITを使って事業構造をどう変化させていくかが最も重要である」とまとめた。