逆もしかりである。

 下の図のような組織構造のコーポレートラボは、事業部からの"ひも付き"の研究費のしばりがなく、コーポレートから交付金的に研究予算がもらえる。このような自由な研究所のマネジャーの中には「研究所は"象牙の塔"。どうしても浮き世離れの研究になる」「研究のための研究、学会発表を目的する研究になりがちだ」などと、緊張感のないことを言っている人がいることがある。

 マネジャーという立場でありながら、評論家ような発言はおかしい。マネジャーの仕事は、このようなときに「誰も気付いていないような新たな事業の種となるような研究に取り組んで、いつの日か、新たな事業部を立ち上げよう! われわれは、未来の社会を創造していくんだ!」と、メンバーの使命感を奮い立たせていくことに他ならない。

 組織構造から発生しがちな状況に甘んじていては、マネジャーの存在意義がない。陥りがちな問題状況にならないよう、現場に対してメッセージしていく、介入していくことこそが、生身の人間としてのマネジャーの仕事なのである。

コンサルタント 塚松一也 (つかまつ かずや)

R&Dコンサルティング事業本部
シニア・コンサルタント
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント

イノベーションの支援、ナレッジマネジメント、プロジェクトマネジメントなどの改善を支援。変えることに本気なクライアントのセコンドとしてじっくりと変革を促すコンサルティングスタイル。
ていねいな説明、わかりやすい資料をこころがけている。
幅広い業界での支援実績多数。