一方、組織構造の変化の影響をモロに受ける現場の人にも心得ておくべきことがある。「ウチの会社は、しょっちゅう組織が変わって困る。今回も、また数年前の形に戻ることになって、この数年間はなんだった?と思う」というような嘆きを現場で聞くことがある。

 確かに、上の人が大した考えもなく、「他にやることがないから、組織でもいじるか」という安直な考えで組織変更をする場合には、そのような文句も妥当性があるだろう。

 しかし、文句を言っているだけでは、なかなか建設的な行動にはなりにくい。現場の人間は「組織構造に一点の問題もなく絶対的によいものはない。それぞれメリット・デメリットがある」ということを認識し、組織変更で生じるメリットを最大限に生かし、組織変更で生じるデメリットを何らかの方法でカバーしていこうとする意識を持って仕事をするべきである。

 組織で仕事をするというのは、チームワークで成果を出すということだ。フォーメーションの変更に早く順応し、新たなチームワークを発揮することを意識すべきである。その意味で、マネジャーは組織変更にあたり、新しい組織構造に変える狙いや新たな期待行動を丁寧に説明することが大切だ。

 新しい組織図を発表するだけで狙いが明確に伝わり、皆の行動がすぐに変わるというのは幻想であり、そんなことはあり得ない。組織構造を変えるときこそ、コミュニケーションのよい機会と認識すべきなのである。