今回も、受注型の開発部門や事業部からの依頼テーマを請けて研究をしている研究所などで見られるマネジメントの問題を取り上げる。
マネジャーが気にしていることは何か
仕事を外部から請けて仕事をする構図の職場では、どうしても構造的に仕事量の増減が生じるものだ。
高負荷状態を長く放置してはならないことは前回も述べたが、もちろん、仕事が少ないことも問題である。受託テーマの量が少な過ぎることはそのまま業績悪化を意味する。また、仕事の質が悪いと、品質問題、コスト超過問題、納期遅延問題などを引き起こす。
従って、マネジャーが仕事の成果や業績を自ずと気にするのは当然のことである。仕事量が十分にあるのか、仕事はうまくいっているのかを、定例会や進捗管理の場などで確認することがマネジャーの仕事の一つになる。
このこと自体はなんら問題ではない。問題なのは、仕事量の管理や仕事の状態の確認だけにとどまり(偏り)、人・組織の成長に関心をあまり持っていないマネジャーがいるということである。
日常、かける言葉が「どう、忙しい?」「まぁ、タイヘンだと思うけど、がんばってね」というようなことばかりの人は、仕事量にしか関心がないと思われてしまうかもしれない。マネジャーは人の成長、つまり、意欲の向上、能力の向上、改善の促進についても、現場の一人一人と話をするべきである。