前回は、現場を高負荷状態にしてはいけないという主張をした。もちろん、私自身、コンサルティングの場でもそのような進言をしているが、実際に「現場の業務量を適正に保とう。忙し過ぎないようにしよう」と提案すると、「それでは現場を甘やかすことになるのでは・・・」という反論・懸念に出合うことがある。

 今回はこのようなケースについて、誤解のないように少し補足をしたいと思う。もちろん、私の主張の趣旨は、現場を甘やかすために業務量の適正化を図ろうとすることでもなく、過保護にすることでもない。

現場のゆとりを成長につなげる

 現場を忙しくし過ぎないようにする目的は、現場の成長を促すためである。

 「現場の過剰な仕事量(高負荷)は、QCD面の問題を起こしたり、メンタルヘルス不調のリスクを高めるからよくない」ということだけではなく、「現場が成長・工夫の意欲を失うような"忙し過ぎる"状況は、人・組織の成長につながらない。ひいては組織の長期的な競争力を失うことにつながる"ゆるやかな自滅行為"だから良くない」ということが趣旨である。

 精神論ではなく、現実論として、現場の成長を図るためには、時間的にも精神的にも成長のための余裕が必要だ。現業の仕事の品質をつくり込むこと、改善を図ることは、現場の実務担当者しかできない。マネジャーは、現場がその2つの責任を果たせなくなるぐらいまでの過負荷にしてはいけないのである。

 それでも「現場にゆとりを持たせると、遊んでしまうのではないか」と心配になる人もいる。そのような不安を抱かせないために、マネジャーは指導者として「時間的ゆとりを、人・組織の成長(業務改善)に使うこと」を啓発すればよい。現場の能力の向上余地、改善余地があることを信じて、その向上を啓発することがマネジャーの仕事に他ならない。