ちなみにガソリンエンジンのBMWで500psを超えるのは「M5」(4.4Lツインターボ)の560ps(0~100km/h加速は4.3秒)であり、この数値に匹敵するハイスペックであることを付け加えたい。

 実際の乗り心地は不明だが、BMWを名乗る以上、万全な走りのチューニングが施されていると考えて良いだろう。BMWがAWDのSAV「X5」や「X3」をローンチした際も「走りの質」については懸念の声が聞かれたが、それが杞憂であったことはすぐに知れた。「iX」についても走る・曲がる・止まるという基本性能はもちろんのこと、BMWが得意とするアジリティ(俊敏さ)、プレシジョン・ドライブ(正確なハンドル捌き)は健在であることが強く期待される。

 一方でインテリアについては、EV時代の到来を感じさせる、良い意味での進化が確認できた。日本仕様と同一でないことを理由に車内での撮影は固く禁じられてしまったが、「BMWカーブド・ディスプレイ」、「パノラマ・ガラスサンルーフ」、リアの「ラウンジシート」は乗り込んだ瞬間に目に飛び込んでくる魅力的な装備である。

「BMWカーブド・ディスプレイ」は新世代のインストルメンタル・パネル(計器盤)で、12.3インチのインフォーメーション・ディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイが1つのユニットにまとめられた横長&曲面の液晶ディスプレイである。ドライバー側に少し傾けて設置されているのはBMWの文法通りと言える。

「パノラマ・カラス・サンルーフ」は前後のシートの頭上をカバーする、開口部が非常に大きなサンルーフである。開閉はできないが、調光技術によってプライバシーを高めたり直射日光から乗員を保護したりするエレクトロクロミック・シェードを採用している。

 リアの「ラウンジシート」については、電動化によりドライブシャフトを通すセンタートンネルが不要になった分、足下の広々感がプラスされてよりリラックスできる空間になった。レザーの風合いも従来の硬い感じから、高級ホテルのラウンジに置かれているシートのような柔らかい肌触りのものに進化している。専門の係員によると、停車の状態において車内でビジネスミーティングを行うシーンを想定しているという。

 ちなみに気になる価格は「iX xDrive 40」が1155万円(消費税込み)、「iX xDrive 50」が1373万円となっている。現在、BMWオンラインストアにてプレオーダーの受け付けが始まっている。

斜め前から見た「BMW iX xDrive 40」の外観。キドニーグリル、丸目4灯のヘッドライト、Cピラーのホフマイスター・キンクなどデフォルメされてはいるが、BMWのデザインアイデンティティはしっかり踏襲されている(筆者撮影)。
2013年にBMW初のEVとしてデビューした「BMW i3」(左)と「i8」(右)。i8は生産中止になったが、i3は今後も販売が継続される(筆者撮影)。
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