米グーグルの検索サービスなどに掲載される報道記事の使用料を巡る問題で、フランス競争当局は同社に対し5億ユーロ(約650億円)の制裁金を科すと、米ウォール・ストリート・ジャーナルやロイターなどが7月13日に報じた。
当局はこれまで、報道機関と記事の対価支払いに関する協議を進めるようグーグルに命じていたが、同社が命令に背き、誠実な交渉を行わなかったとしている。
1日90万ユーロの追加制裁金も
グーグルは今後2カ月以内に、仏メディアに対して使用料を提案しなければならない。もし同社が応じない場合、追加で1日当たり90万ユーロ(約1億1700万)の制裁金が科されるという。
グーグルは「失望した。我々は誠意を持って行動してきた。合意に向けた取り組みや、掲載記事がどのように機能しているかといった現実を無視したものだ」と反論。一方で、「当局の措置を考慮し、メディアとの協議に反映させる」とも述べ、命令に従う姿勢も見せている。
グーグルや米フェイスブック(FB)などのIT大手のサービスを巡っては、「メディア企業が費用を投じて作ったコンテンツを、対価を払わず検索結果やニュース配信サイトに表示している」として批判の声が上がっている。IT大手がネットサービスで巨額の広告収入を上げる一方、メディア企業の多くは広告収入の減少に直面している。
こうした中、欧州連合(EU)は昨年、新著作権指令を発効した。フランスはこれを受け、同年10月に改正著作権法を施行。仏当局は20年4月、グーグルが同法を回避しているとし、報道機関と協議するよう命じた。
グーグルなど「自由なリンクはネットの活力源」
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、プラットフォーマーと呼ばれるテクノロジー大手が、記事の対価を支払わずに自社サービスに掲載しているという問題は10年以上前から指摘されていた。
指摘に対しグーグルやフェイスブックなどは、「我々は毎月数百億回にわたり報道機関のサイトに利用者を誘導している。自由なリンクはインターネットの活力源になっている」と主張してきた。