大統領令に署名するバイデン米大統領と、ペンを持つリナ・カーン委員長(写真:ロイター/アフロ)

 バイデン米大統領が7月9日に署名した、企業間の競争促進を目的とした大統領令を巡り、テクノロジー業界で反発が広がっていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

バイデン氏「競争のない資本主義は搾取だ」

 米ニューヨーク・タイムズロイターなどによると、大統領は米政府機関に計72件の取り組みを指示した。IT(情報技術)にとどまらず、通信や航空、医薬、農業などの幅広い業界の反競争的慣行を対象にしている。

 バイデン氏はホワイトハウスで演説し「競争のない資本主義は資本主義ではなく、搾取だ」と訴えた。この中で同氏は、「過去数十年、M&A(合併・買収)が進んだことで企業間の競争が減少し、我々の経済が抑制された」とし、「大企業は消費者の獲得で競うのではなく、競合を消費するようになった。労働力の獲得で他社と競うのではなく、労働者より優位な立場に立つ道を探るようになった」と指摘した。

GAFAの規模や力を抑制する狙い

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると今回の大統領令の主な目的は、反トラスト法(独占禁止法)を所管する米連邦取引委員会(FTC)などの政府機関に新たな規制や方針を策定するように促すこと。米グーグル、米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック、米アップルのいわゆる「GAFA」などテック大手の規模や力を抑制したい考えだという。

 具体的には、FTCに対し、オンライン監視や利用者情報の収集に関する新たな規制を設けるよう促した。プラットフォーマーと呼ばれるテック大手のビジネスは膨大な量の利用者情報に依存している。こうした規制が導入されれば、多くの企業の商慣行を是正できると考えている。