歓迎したいメディアデーの2日間への拡大

 まずはCES 2022の会期と出展社について。会期は例年だと1月第2週の火曜日スタートで、その週の金曜日に閉幕(週の月曜はプレス対象のメディアデー)というパターンだった(注)。しかし、今年は(日の並びの関係もあるが)、年明け早々1月5日(水)にスタートし、しかもメディアデーが1日長くなった関係で、開幕初日が火曜日ではなく水曜日に、閉幕も金曜日から土曜日にスライドしたという点で例年とは違う印象である。

(注)CES 2020の開催期間は1月7日(火)~1月10日(金)、完全デジタル開催になったCES 2021は1月12日(火)~1月15日(金)であった。

 これはあくまでも筆者の推測であるが、ここ数年、CES開催に絡めてプレス発表を行う企業が増えてきており、各国のメディアの関係者(筆者も実はその端くれである)はスケジュール表と睨めっこをしながら会場や会場周辺のホテルを終日跳び回ることを強いられる傾向があった。メディアデーが1日から2日間に拡大したことで取材スケジュールにいささかなりとも余裕が生まれることは、プレスの側にも企業の側にも肉体的・心理的安全性が担保される。良質な記事を発信するためのメリットになるのでこれは現場目線の良い改善だと感じた。

常連の出展社の復帰はグッドニュース

 CTAがプレスリリースと同時に発表したCES 2022の主な「出展確定社」のリストは以下の図のようなものである。

 ご覧の通り、アマゾン、AMD、AT&T、ダイムラーAG、デル、グーグル、ヒュンダイ、IBM、インテル、レノボ、LG電子、パナソニック、クアルコム、サムスン電子、ソニーなどこれまでCESの常連だったグローバル企業がこぞって顔を揃えるのはグッドニュースである。

 逆に米中の経済面の対立(貿易不均衡・知財保護・技術移転の強要・産業補助金など)と安全保障面の対立(サイバー攻撃・情報セキュリティ問題)は民主党のバイデン政権になってからも続いており、CES 2020以前のように、中国のハイテク企業の代表であるファーフェイやドローンメーカーのDJIがその存在感を誇示する形でCES 2021にエントリーしてくる可能性は皆無だろう。

 日本企業に関してはウーブン・シティを推進し、「オートモービル・カンパニー」から「モビリティ・カンパニー」への「なりわい」変革が注目されるトヨタが2年ぶりにCESにカムバックするのか、CES 2021で次世代の大容量高速通信ネットワーク技術「IOWN」構想(Innovative Optical and Wireless Network:アイオン)で存在感を高めたNTTが具体的でインパクトのあるプレゼンテーションを行うのか、に注目が集まる。

 また、キャタピラー(Caterpillar:世界最大の建設機械・鉱山機械のメーカー)、インディ・オートノマス・チャレンジ(Indy Autonomous Challenge:2021年10月23日に自動運転レーシングカーのレースを開催予定)、シエラ・スペース(Sierra Space:地元シエラネバダコーポレーションが設立した商用宇宙開発会社)などユニークな企業・団体がCESデビューを飾るという。

 一方、出展社つながりで言うと、スタートアップ企業が主役の「ユーレカパーク」の復活もうれしいニュースと言える。毎年、サンズホテルの1階の会場で、学園祭のようなカジュアルなスタイルで運営されているイベント(筆者は「ギークの学園祭」と勝手に命名している)には、明日のユニコーンを目指すスタートアップ企業が天井の低い広大な空間に(文字通り)ひしめいている。