起死回生を狙う日本のテック企業はボッシュを目指せ

「サステイナブル#LikeABosch」CES 2021で示した有言実行

朝岡 崇史/2021.2.9

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ボッシュは自動運転ではサプライヤーではなくプラットフォーマーとしてのチャレンジを続けている(CES 2020のボッシュの出展ブースにて:著者撮影)

(朝岡 崇史:ディライトデザイン代表取締役)

 今回が初のデジタル開催となった「CES 2021」(会期:2021年1月11~14日、ウェブサイトは2021年2月15日までオープン)。コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)の進化が加速したことが主にデジタルヘルスやロボティクスの領域で確認されたと同時に、主要なテック企業が「テクノロジーによる負の進化の側面」にも真摯に向き合い、解決に向けた糸口を模索しようという呼びかけがなされたという点で、これまでのCESとは一味違う、意義深いイベントだったように思う。

(参考)「CES 2021報告、コロナ禍でDXは『堅実に』加速した」(JDIR)

 基調講演に登場したマイクロソフトのプレジデント、ブラッド・スミスが「テクノロジーに良心はない」と警鐘を鳴らし、カーボンニュートラルやデータセキュリティの問題を提起したり、カンファレンスでアマゾン、グーグル、ツイッターのプライバシー責任者が「生活者のプライバシーと信頼」について話し合ったりしたことに象徴されるように、テック業界のリーダー企業が持続的成長の可能な社会づくりに向けて関与を深める姿勢を示したことは人類の明るい未来にとって意味のある前進、と捉えることができよう。

 一方で毎年CES会場に足を運び「定点観測」を行なっている著者にとって、今回のCES 2021は、スマートフォンの時代がスタートした2010年代の前半あたりから長期低落と存在感希薄化が続く日本のテック企業がとるべき近未来の役割とポジショニングについて、改めて深く考えさせられる機会であったこともまた事実である。

「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」に通じるソーシャルグッドな考え方を創業の理念に持ち、成熟して安定した社会が背景基盤にあるのが、<中国や韓国の企業では真似したくても真似できない>日本のテック企業の大きな特徴であり、同時に潜在能力でもある。自らの「なりわい」を見直しグローバルでの競争力を回復すると同時に、「テクノロジーによる負の進化の側面」にも主体的に向き合う。具体的には気候、健康、生活、産業、モビリティなど様々な分野で社会のサステイナブルな成長に資するソリューションを提供していくことで、日本のテック企業は再び世界に向けて輝きを取り戻せるのではないか。

 そんな想いを抱きながらバーチャルなCES 2021会場を巡っていたら、明日の日本のテック企業の「お手本」となるべきドイツ企業に行き当たるべくして行き当たった。「サステイナブル#LIkeABosch」のキャッチフレーズを掲げ、自らの旗色を鮮明にしてプレス発表を行ったボッシュ(Bosch)である。

 日本のテック企業はボッシュを目指せ! 今回はボッシュの戦略と「テクノロジーによる負の進化の側面」に向き合う、サステイナブルなソリューションにフォーカスしてみたい。

「サステイナブル#LikeABosch」の新キャッチフレーズの下、CES 2021のプレス発表においてインテリジェントで持続可能性のあるソリューションをアピールした独ボッシュ(出所:bosch.co.jp)