新たな出会いがイノベーションを創発する!

 スマートシティが成長するためには長期的なビジョンを持ったリーダーと、協調性のある人材が欠かせません。スマートシティの評価軸は基本的に9つあります。ガバナンス、経済、市民の社会的結合、人的資本、国際的な影響力、テクノロジー、都市計画、モビリティと交通環境、という9つです。また、スマートシティ実現には一般的に、モビリティ(MaaS)、ヘルスケア、セキュリティ、水、エネルギー、エンゲージメントとコミュニティ、経済開発と住宅、廃棄物処理、という8つのテーマが掲げられます。

 一つ事例を紹介すると、ベルリンの大手企業の多くは「イノベーションのジレンマ」を抱えており、自らイノベーションを起こすことが難しくなってきています。そこでスタートアップや個人に「イノベーションとの対話」を促進しようと立ち上げられたプロジェクトが、ベルリン最大のテックパーク内につくられたInfraLabです。

 InfraLabでは、例えば、公共バスと水道・ガス等のマンホールのふたにセンサーを取り付け、バスがマンホールの上を通過するたびにメンテナンスが必要かどうかをデータで確認できる仕組みをつくっています。InfraLabのような共同作業プロジェクトにより、本来であれば出会うことも話し合うこともなかったインフラ企業の連携が実現したということです。

 バルセロナに話を戻しますと、ブリア氏は幾つか革新的なことを行っています。その一つが、スマートシティをこれから展開する都市は「10の教訓」について考えるべきだと公表していることです。「10の教訓」はバルセロナのスマートシティ戦略モデルと経験に基づくもので、スマートシティの設計の改善、簡素化に役立つ指標です。特に「プロセスに市民を参加させる」という指標が重要になります。

 スマートシティの「スマート」という言葉は、デジタル時代の本質的な特性になってきています。「スマート」には「柔軟性」「賢明」「自己調整」「知性」「自律性」といったさまざまな意味がありますが、過去10年間で「スマートシティ」は世論と想像力を最も刺激した概念と言えるでしょう。そして、ここ20年ほど影響力のあった「クリエイティブ・シティ」というアプローチを完全に超え、「ポスト・クリエイティブ・シティ」という形で世界中の業界や政治に影響を与えていると言えます。