※本コンテンツは、2020年11月24日に開催されたJBpress主催「第7回 DX フォーラム」Day2の特別講演「味の素グループがDXで描く食品ビジネスの未来」の内容を採録したものです。

味の素株式会社
代表取締役副社長執行役員
(Chief Digital Officer〈CDO〉)
福士 博司氏

2030年に向けてパーパスドリブンな企業に生まれ変わる

 わが国を代表する食品メーカー 味の素株式会社を筆頭とする味の素グループ。世界に3万5000人の従業員と121カ所の生産工場を擁する現在、日本のみならずグローバル企業としての今後の在り方が問われていると福士氏は明かす。

「今から10年後、2030年の社会は、日常生活は安全や健康、品質に対する意識がさらに高まっており、人生100年時代が本格的に到来していると考えられます。一方では高いデジタルリテラシーを持つ人々が世界規模で増え、その働き方や場所も多様化しているでしょう。テクノロジーの進化で生産性そのものが大きく向上し、企業活動も変わっていきます。そうした社会の中で、食に関するさまざまな課題も浮上してくると予想されます」

 例えば、人口増大によって、食資源はさらに逼迫してくる。一方では、フードロスの増大やメタボリズム(代謝)に悩む成人と低栄養に悩む高齢者の増加といった問題も依然解決しないままだ。世界が激しく変化していく中で、食にまつわる課題は増えこそすれ減ることはないと福士氏は見ている。

 そうした課題山積のこの先10年を、味の素グループは、DX企業に生まれ変わることで生き抜こうと考えている。では味の素が描く「DX企業」とはどのようなものなのか。福士氏は「これから私たちは、食と健康の課題を解決するパーパスドリブンな企業に生まれ変わる」と宣言する。

「これは当社 代表取締役 取締役社長 CEO 西井孝明による意思表明であると同時に、私たち味の素グループの2030年に向けたミッションステートメントでもあります。これを2020年の統合報告書で宣言するとともに、生活者の皆さまのユーザー体験(UX)を劇的に変革する、食の新事業を創造していくということを明確にうたっています」