※本コンテンツは、2020年11月25日に開催されたJBpress主催「第4回 ワークスタイル改革フォーラム」Day2の特別講演「AGCの組織カルチャー改革とワークスタイル変革」の内容を採録したものです。
AGC株式会社
常務執行役員 人事部長
簾 孝志氏
2025年の未来像に向けて業務ポートフォリオの変革を実施
110年余の歴史を誇り、現在は世界で5万5600人の従業員を擁するAGC株式会社。日本発のグローバル企業として、30を超える国と地域に事業を展開している。今や売上高も従業員数も国外の比率が7割以上に達するという同社では、自社の未来戦略の土台となる事業ポートフォリオの組み替えに取り組んでいると、常務執行役員 人事部長 簾 孝志氏は語る。
「2025年に高収益でグローバルな優良素材メーカーになるという目標に向けて、従来の事業を『コア事業』と位置付け、長期安定的な収益基盤を構築。一方、戦略事業として高付加価値ビジネスの拡大による『高収益事業』の確立を目指し、『モビリティ』、『エレクトロニクス』、『ライフサイエンス』といった事業ドメインを定めました。今後はこの2本を当社事業の柱として大いに注力していきます」
こうした未来戦略を推進していく上では、新しい時代を担う人財マネジメントへの期待が必然的に高まっていくと、同社の人事責任者でもある簾氏は指摘する。そのためにAGCでは、人事制度から働き方・組織文化まで一体となった変革を推進し、「人財で勝つ会社」を目指している。
具体的な取り組みとしては、3つある。①多様な個の意欲・思いに真摯に向き合う ②個々のキャリア開発・評価・育成に対する労力を惜しまない ③組織運営や働き方の無理・無駄をなくし、従来以上に人財マネジメントに時間を充てる だ。
「例えば、個々の従業員と向き合うという点では、社長が世界中の拠点に出向いて社員と語り合う『対話会』を実施しています。2019年には、国内外40拠点で開催しました。こうした対話の機会をCTOやCFO、そして私自身も積極的に設けており、『この会社では自分の言いたいことをマネジメント層や仲間に話せ、話したことはきっと実現する』という文化を醸成するように努めています」