※本コンテンツは、2020年11月26日に開催されたJBpress主催「第1回 Marketing & Sales Innovation Forum」の基調講演「ポストコロナ時代のマーケティング、セールスのデジタルシフト」の内容を採録したものです。

名古屋商科大学ビジネススクール
教授
牧田 幸裕氏

ビジネスではどんな深刻な問題もチャンスにするか脅威にするかは工夫次第

 本講演では、私が実際のビジネスで幅広い業界の企業の営業改革やマーケティングの再立案等に携わってきた経験も踏まえつつ、企業がコロナ禍でどのようにデジタルシフト、デジタルトランスフォーメーションを進めていくべきかについてお話しします。

 コロナ禍の中、名古屋商科大学では全ての授業をオンラインで行っています。オンライン化を決定したのは2020年3月。それから1カ月で準備を終え、春学期(4~9月)の授業は当初の予定通りに実施することができました。

 私が依頼を受ける講演の数を振り返ってみると、コロナ禍以前は全て対面で行っていたこともあり、2020年4~6月の講演は全てキャンセルとなっています。7月に入るとオンラインでの講演依頼が入り始め、私は自宅に動画配信環境を構築しました。外部モニターやスイッチャーなどを駆使して顧客体験の向上にも力を入れたことで、4~9月の講演数と受講者数は前年同期比でそれぞれ115%、125%となっています。実質7~9月の3カ月で前年の半年間の数値を上回ったのです。

 オンラインでの講演では、空気感が伝わりにくいなど、リアルに劣る部分は少なからずあります。その一方で、モニターで受講者一人一人の表情をはっきり確認できるので、受講者の理解度に合わせて話す内容を変えたりといった対応が、対面での講演よりも緻密に行えます。資料もオンラインの方が見やすいでしょう。距離の概念がないので、どこにいても講演を受講できるのもメリットです。

 コロナウイルスの問題は確かに深刻です。しかしビジネスにおいては、これをチャンスにするのか脅威にするのかはわれわれの工夫次第であるということをまずご理解ください。