スマートシティが経済と社会に及ぼすインパクト

 イギリスの経済学者、ケイト・ラワース氏が提唱した「ドーナツエコノミー」は世界的にも非常に影響力のある経済理論です。これは「惑星の境界」と「社会の境界」の間にある「人間が繁栄できる安全な空間」をドーナツ型で示したもので、ドーナツの内側は、持続可能な開発目標として特定された人類の12の社会的基盤(食料、健康、教育、収入と仕事、平和と正義、政治的発言力、社会的平等、男女平等、住居、ネットワーク、エネルギー、水)を示しています。

 一方、ドーナツの外側は地球システムの科学者が「惑星の安定を脅かす」と特定した9つの惑星境界(気候変動、海洋酸性化、化学物質汚染、窒素およびリン酸肥料の投与、取水、土地変換、生物多様性の喪失、大気汚染、オゾン層の減少)で形成されています。つまり、いかにドーナツの内側と外側で均衡のとれた新しい社会システムをつくるか、ということが重要ということです。

 また、ノーベル経済学賞を獲ったジョセフ・スティグリッツ氏と彼を中心としたチームは最近、注目すべき報告書を出しました。それは、グリーンプロジェクトに投資することが、コロナ後の経済を復活させるための最も費用対効果の高い方法である、という内容のものです。

 太陽光や風力によるクリーンな発電、ヨーロッパではグリーンエネルギーと呼んでいますが、これらに関する物理的インフラ取得者の支援や送電網のアップデート、スマートグリッド、水素の利用促進、再生可能エネルギープロジェクトへの投資、住宅・建物への断熱材の追加、ブロードバンドの改善、電気自動車や電動自転車の奨励が経済を活性化させ、排出量削減に役立つということです。