見どころ(2)
出展企業:出展社は減るが体験の質は上がる可能性は大きい

 CES 2021からの流れで見ると、「5Gやその周辺の先端技術(IoT、ローカル5G、XRなど)」「モビリティやスマートシティ(CASE、MaaSなど)」「ライフテック(デジタルヘルス、スポーツテックなど)」「フードテック(人工肉、スマートキッチンなど)」が今年も話題の中心になることはほぼ間違いない。

 しかしながらCESの動向予測は毎年難しい。特に昨年は2019年からの流れを読んだ上で自信満々に「CES 2020は5G一色になる」といった内容の予測記事を上げたものの、蓋を開けてみたら5Gのソリューションでほとんど見るべきものはなく、記事を読んでいただいた皆さまにご迷惑をかけてしまったことを反省している。

 5Gに関して言えば、今年2月末に開催される予定だった「MWC 2020」(スペイン・バルセロナ)がコロナ禍で直前に中止が決まり、各企業ともお披露目したいアプリケーションやサービスがまとまってストックされている可能性もある。CES 2021では各社による「5Gソリューションの百花繚乱」を期待したい。

 CES 2021のサイトによると出展企業は985社(2020年12月17日現在)でCES 2020の4400社には遠く及ばない。ちなみに完全デジタル化されたCES 2021へのブース出展料金は、スタンダード(1200社限定)1500ドル(15.5万円)、プレミアム2万5000ドル(258万円)、プレミアムプラス8万5000ドル(876万円)となっていて、リアル展示に比べるとハードルは大幅に下がっているにもかかわらず、である。

 出展社数が伸び悩んでいる理由としては、7月末にCES 2021の完全デジタル化が発表されてから各社に準備の時間が少なかったこと、大手でもトヨタやエヌビディアのように年によって戦略的に出展を見合わせる企業があること、リアルのCESにおいて各国政府のバックアップを受けて多数のスタートアップ企業がエントリーしていた「ユーレカ・パーク(Eureka Park)」のような枠組みが今回は明確ではないこと、そして米中貿易摩擦の煽りや中国の景気後退を受けて中国系の企業が相次いで撤退したこと(特に情報セキュリティの面で立ち位置が微妙なファーウェイやDJI)が大きな要因だろう。

 しかしながら、今年、仮にリアルでCES 2021が開催され、例年通りに4400社が出展したとしても3日間でじっくり見て回れるブースはせいぜい300社くらいであるはずだ。

 デジタル展示で行列や待ち時間がなくなり、マルチ言語対応でコミュニケーションギャップがなくなることで、むしろ1ブースあたりの来場者の体験の質は確実に上がるだろう。

 完全デジタル開催で「憧れのCES」は「身近なCES」へ。

『JDIR』の読者の皆さんでCES未体験の方はぜひこれを機会にレジストレーションのサイトへ行かれてみてはどうだろうか?