(3)アフターサービスをどこまで求めるか
この場合のアフターサービスとは、資産運用や商品選びに関する相談や情報提供を指します。これらは、これまで対面で購入する販売会社の方が充実していました。ただ、投信運用会社、各種情報ベンダー、業界団体などがインターネットを通じた情報提供を推進しているため、現状では販売会社からの情報の有用度が相対的に低まっているといえます。

決済や融資と資産運用で使い分ける方法も

 おおまかな判断基準としては、売買の利便性とコストを重視するならネット専業証券・銀行、市場動向やリスクの情報提供を重視するなら対面販売を行う証券や銀行、と言えそうです。地銀は後者に分類されるでしょう。しかも、投資家との関係性が深く親密なので、一人一人のライフプランに合った資産運用を提案できる可能性はあるのですが・・・

 決済や給与振り込みだけで地銀を利用している顧客も多く、地銀担当者のキャリアや力量もさまざまで、全員にきめ細やかなサービスを提供するのはなかなか難しいようです。また、高齢者のお客さまにリスク商品を勧誘するのはコンプライアンス上、ハードルが高くなっています。

「老後資金の準備」を目的とした長期間の資産運用という観点からは、地銀を利用し続ける合理的な理由はあまり見つかりません。一方で、地域社会で生活するなかで地銀の重要度はいまだに大きいものがあります。つまり決済・融資・支払いなどと、資産運用とは、金融機関を使い分けることを視野に入れることが賢明です。

 今回、このテーマを取り上げたのは、地元で一人暮らしをしている筆者の母親の体験があるからです。筆者の母親の場合、すべて「東京の息子に聞いてから」と答えるようにと、相談して決めました。購入しない場合は「息子が認めないから」と筆者を悪者にすることで、いまのところ丸く収まっているようです。

 地銀からの投信の勧めをどうしても断りきれない場合は、低コストのインデックス投信か個人向け国債あたりにしておくのも一つの手です。買わない言い訳として「お金がない」は効果がありません。決済や年金・給与の振込に地銀を使っていれば、お金の出入りが把握されているからです。長い付き合いの担当者だと心苦しく感じることがあるとは思いますが、合理的な資産運用には毅然とした態度と上手な嘘も時には必要になります。