
2019年1月、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」(以下「Fund of the Year 2018」と略)が発表されました。これは、投信について日ごろからブログで発信している個人投資家(投信ブロガー)が、良いと思う投信に投票してランキングを公表するもの。毎年1回行われ、今回で12回めを迎えます。投信業界の恒例行事として定着しつつあり、その結果が注目されるようになっています。
投票資格は、ボランティアである運営委員が認定した投信ブロガーで、今回の場合2018年9月30日までにブログを開始していること。多くは30~40代の会社員だといいます。今回の有効投票人数は241人。1人につき5ポイントの持ち点があり、これを最高5本までの投信に振り分けて投票する仕組みです。対象となる投信は2018年10月31日までに設定された商品でETF(上場投資信託)も含まれます。
上位10位はインデックス投信がほとんど
上記10位までの投信と順位は以下の通りです。
1位:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス【三菱UFJ国際投信】
2位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド【ニッセイアセットマネジメント】
3位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)【三菱UFJ国際投信】
4位:楽天・全米株式インデックス・ファンド【楽天投信】
5位:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)【三菱UFJ国際投信】
6位:セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド【セゾン投信】
7位:バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)【ザ・バンガード・グループ・インク】
8位:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)【三菱UFJ国際投信】
9位:楽天・全世界株式インデックス・ファンド【楽天投信】
10位:eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)【三菱UFJ国際投信】
すぐにわかることが2つありますね。ほとんどがインデックス投信であることと、三菱UFJ国際投信の商品が5本ランクインしていることです。
「長期・分散・低コスト」の合理性を求めた若い層
インデックス投信に人気が集中しているのは、投信ブロガーのリスク志向と関係がありそうです。前述の通り、投票資格をもつ投信ブロガーの中心は30~40代の会社員。比較的若いことから、資産運用の必要性を強く感じている層と考えられます。投資期間を長くする長期運用も可能です。しかも、ブログで自分の学習成果や投資結果を発信しています。
投信ブロガーは一般に投資リテラシーが高く、合理的な商品選びを志向する人たちといえるでしょう。具体的には「長期・分散・低コスト」を絶対条件に投信を選ぶ傾向が強い。その結果、インデックス投信が上位にランクインしたと考えられます。
三菱UFJ国際投信の商品が5本ランクインしている理由は明確です。同社のインデックス投信シリーズ「eMAXIS Slim」は、信託報酬がすべて年率0.2%以下。他の運用会社が同じ投資対象のインデックス投信を低い信託報酬で設定すれば、追随して引き下げる方針を表明しています。実際にこれまで何度か引き下げました。コスト(信託報酬)の低さと、“投資家目線”の取り組みというイメージが功を奏した格好です。
20位のうち17本が「つみたてNISA」の対象投信
さらに特筆すべき傾向があります。上位10位までの投信のうち9本、20位まで見ても17本が「つみたてNISA」の対象投信であるということです。以下は11位から20位にランクインし、つみたてNISAの対象となっている投信です(上位順)。
・ひふみ投信【レオス・キャピタルワークス】
・野村つみたて外国株投信【野村アセットマネジメント】
・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス【三菱UFJ国際投信】
・結い2101【鎌倉投信】
・iFree S&P500インデックス【大和証券投資信託委託】
・eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)【三菱UFJ国際投信】
・コモンズ30ファンド【コモンズ投信】
・SBI・全世界株式インデックス・ファンド【SBIアセットマネジメント】
運用実績よりも商品設計を重視!?
当然のことながら、投信ブロガーの投信選びが必ず正しいとは限りません。運用実績よりも低コストへの意識が強すぎるのでは?という声があるのも事実です。実際に、20位までの21本(20位が同順位で2本ある)のうち、2018年1年間のリターンがプラスだった商品はありません(設定から1年未満の投信や外国ETFは除く)。
2018年は秋以降、米国株式の下落にともなって日本株式も調整局面を迎えた結果、投信の運用実績が伸び悩みました。リターン上位になったのは、株式市場が下落すると基準価額が上昇する仕組みの「ベア型」や、国内の不動産に投資する「REIT型」が多かったようです。長期の資産形成に適した種類とは言い難い特徴的な投信が好調だった1年と考えることができます。
長期の積立投資を実行している投信ブロガーは短期の運用実績はあまり気にせず、商品設計を重視していることが見て取れます。
つみたてNISAの浸透・拡充が投信選びに影響
一方、つみたてNISAの浸透・拡大が、「Fund of the Year 2018」の結果に影響を及ぼしたことは十分に考えられるでしょう。
金融庁が「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」として、つみたてNISAの対象商品を公表したのが2017年10月。投信を絞り込んだ主な条件として、(1)販売手数料がゼロ、(2)信託報酬が一定水準以下(例えば国内株のインデックス投信の場合は0.5%以下)に限定、(3)信託契約期間が無期限または20年以上であること、(4)分配頻度が毎月でないこと、(5)ヘッジ目的の場合などを除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと――が挙げられています。
結果として、一般的なインデックス投信(ETF含む)が基本になり、アクティブ運用投信は例外として継続して投資家に支持・選択され、規模が着実に拡大しているものが選ばれました。「Fund of the Year 2018」の結果とつみたてNISA対象商品が似ているのは理解できるところではないでしょうか。
約6000本から自分に合った投信を選ぶ参考に
いま、個人投資家が日本国内でいつでも購入できる公募投信はETFを含めて6000本以上あります。このなかから、自分の資産形成に役立つ数本~十数本を選ぶのは簡単ではありません。ましてや、投資初心者は途方に暮れてしまうでしょう。
株式投資の世界では、株価チャート(株価の動きをグラフ化したもの)を分析して自分なりの投資理論を構築、売り・買いのタイミングをアドバイスするような人はいました。しかし、資産形成を目的とした長期運用のねらいと成果を公表する個人投資家のまとまった動きは「Fund of the Year」が初めてではないでしょうか。
金融庁がつみたてNISAの対象商品を公表したことも画期的といえます。いわば、国が民間の商品にお墨付きを与えたわけですから。
この動きを活用しない手はありません。「投資は初めて」「商品選びに自信がない」「いろいろ考えたけど結論が出ない」という方は、参考にしてもいいでしょう。なかでも、「Fund of the Year」20位までにランクインして、しかもつみたてNISAの対象にもなっている投信は購入を検討するに値する商品だと思います。





