何事も独学で身につけることは簡単ではありません。インターネットがこれだけ普及し、たくさんの書籍が発行されている現在でもそうでしょう。教えてくれる先生や一緒に学ぶ仲間がいた方が、より短時間で学習効果を得ることができます。これはいつの時代も変わりはなさそうです。

 では、資産運用や投資の学習はどうでしょう。大きくは変わらないと思いますが受験勉強や仕事と最も大きく違うのは、自分がわからないことや不安な点を相談しづらいということ。「いま○千万円の資産があって、どうやら○千万円くらいの不動産が相続できそうなんだけど、何に投資したらいい?」なんて、誰にでも気軽に相談できる内容ではありません。

 ある程度の独学は必要なようですね。となると、投資セミナーの活用を考えてはいかがでしょうか。

事前に計画を立てて望みたい大規模投資イベント

 投資セミナーとひとことで言っても、その規模や種類はさまざまです。ここでは大きく4つに分けて、その特徴と活用アイデアを紹介します。

 最も規模が大きく、ある意味で最初に参加しやすいのが、大手メディアや業界団体(東証や日本証券業協会など)が主催・協賛する投資イベントです。「○○フェア」「○○フェスタ」などの名称がついています。内外の大物識者が講演したり、多くの金融機関がブースを出展したりするなか、個別の投資家向けセッションが投資セミナーということになります。

 これは面白いです。たいていは参加費無料、先着順で軽食を提供するイベントも珍しくありません。金融機関のブースを回るとたくさんの資料やノベルティがもらえます。もちろん、その会社で提供している投資商品に関する質問にも答えてくれます。まずは、このような大規模投資イベントに参加して、投資や資産運用の世界を体感してみてはどうでしょう。雰囲気を味わうだけでも投資へのモチベーションがより高まります。

 上手に活用するコツは大きく2つ。ひとつは、投資の学習を目的にするならブース見学は最後にすること。たくさんあるので疲れてしまうからです。あくまで講演とセッション(セミナー)参加を中心に考え、ブース巡りは最後のお楽しみにしましょう。もうひとつは、参加したいセッションを事前に選んでおくこと。人気講師のセッションは抽選や当日先着順になることもあります。イベントのウェブサイトでプログラムを確認して、当日の行動予定を立てておきましょう。

出展社が力を入れる金融グループの独自イベント

 セミナー種類の2つめは、大手金融機関グループによる独自の投資イベントです。当該グループに口座を持っていなくても参加できることが多く、大手メディア・業界団体によるイベントと同程度の規模で開催されることもあります。内容も似ていますが、大きく違うのは出展社。そのほとんどは、主催の金融グループに商品・サービスを提供している会社です。具体的には、銀行や証券会社が主催し、投信運用会社が出展しているケースなどがあります。

 出展社である運用会社は主催の証券・銀行に商品を売ってもらっているので、イベント全体が販社向けプレゼンテーション、アピールの場でもあるわけです。当然のことながら注力しますし、セミナー内容も他イベントよりも吟味され、情報がアップデートされている可能性があります。投資学習という点では、より期待できると思います。

 注意したいのは、出展社や講師が提供する情報のほとんどが、主催の金融グループで取り扱っている商品・サービスに偏りがちなこと。セミナーを聞いて「この商品いいな」と思っても、主催する金融機関に口座がなければ買えないことが多いのです。また、セミナーやブースにおいて主催社にネガティブな情報を聞くことはないでしょう。

目的意識を明確にしたい独立系FP会社や投資教育会社のセミナー

 3つめは、最近増えてきた独立系FP(ファイナンシャルプランナー)会社や投資教育会社による投資セミナーです。彼らは金融機関や運用会社にとらわれず第三者的な立場から個人の資産形成を支援することを標榜しており、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及などで、このところ開催頻度が増えています。

 投資教育をコアビジネスにしているだけあって、投資商品選びのポイントから有料の投資スクール、スマホアプリで株式投資のシミュレーションなどまで、さまざまなプログラム・ツールを提供しています。独学の投資学習としては効率的かつ実践的だと思われます。

 参加にあたっては、自分の目的と参加するプログラムを正しく選びたいところです。基礎的な知識を学びたいだけなのか、自分の資産バランス(ポートフォリオ)を構築したり確認したりしたいのか、などなど。より具体的な悩みを解決したいなら、自分が保有している資産の内容や金額、ゴールを明確に伝える必要があります。その準備がないまま相談しても期待した回答を得ることはできません。

商品勧誘を受けることもある支店での小規模セミナー

 4つめは、金融機関の各支店が独自で開催している投資セミナーです。店頭に貼ってあるポスターを見たことがある人も多いことでしょう。基本的に、その支店のお客さまを対象にしており、数十人規模での開催が多いようです(大規模支店は別です)。本店の担当者や支店長が講師になるなど、地元のお客さまへの顧客サービスの側面が強そうです。

 その支店に口座を持っているなら、いちど参加してみるのも悪くありません。気をつけたいのは、金融商品の勧誘を受けることがあること。セミナーの勧誘チラシにも「セミナーでご紹介する商品等の勧誘をおこなう場合があります」などと、はっきりうたっていることが多いです。

 上記4つのほかにも、著名投資家が比較的高額な受講料で自らの投資法を教えるセミナーや、ネット証券がウェブ上でおこなうオンラインセミナーなどもあります。

 誰が主催するどんなセミナーを受講しても得ることはあります。最初のうちは無料のセミナーをどんどん受講してみるのもひとつの方法でしょう。そのうちに、自分のニーズに合ったセミナーの形が見えてくると思います。

孤独な投資の世界で小さな自信を得るために

 投資セミナーでは、資産運用や投資に関する新しい情報や知らなかった知識、具体的な投資法や商品などを得ることはありますが、得られる最大の成果は投資への自信なのかもしれません。なかなか気軽に相談できないお金の話。結果責任はすべて自分で負うことになります。投資の世界は思った以上に孤独なものです。

 結果はどうあれ、この商品と配分でいこう!――と納得できることが投資への自信です。必ず儲かる商品を教えてくれる投資セミナーはありませんが、自分が納得できる投資戦略、つまり投資へのスタンスを決めるヒントは得ることができます。結果を欲張らずに参加することが大事です。

 さまざまな投資セミナーに参加してみてわかったアドバイスを2つほど。どんな規模のイベント・セミナーでも服装は平服で大丈夫です。都心の大規模投資イベントでも変わりありません。金融機関の担当者は、来場者の装いで保有する資産を値踏みすることなどはしませんから。

 もうひとつ、金融機関の担当者と直接話をすることを重視しましょう。その内容や対応力の方が投資のヒントや商品選びに役立ちます。資料やノベルティなどの“お土産”集めもよいですが、不特定多数が参加するセミナー・イベントで配布する資料は、インターネットなどから得られるものがほとんどです。またノベルティは・・・私自身これまで、もらってうれしかった物はひとつもありません。