投信販売に期待を寄せる地銀だが
地銀で投信を買うことに問題があるわけではありません。ただ、経済合理性以外の理由で商品選びをしてしまうケースが、他の販売チャネルより相対的に多い可能性があるので注意しましょうということです。
少子高齢化や低金利による利ざや低減などによって経営が厳しくなっているなか、地銀各行は投信販売による収益に期待を寄せています。銀行を挙げて注力するなかで「お客さまニーズ」という定義名分のもと、さまざまなタイプの投信が販売されるようになっています。
たとえば、先物を活用して国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)に分散投資し、運用資産の3倍相当額に投資したのと同様の運用成果をめざすもの。また、運用期間があらかじめ決められた単位型(一般の投信の運用期間は無期限で「追加型」と呼ばれる)で、リスクを限定したタイプの投信も登場しました。
リスク限定型では、投信の基準価格が一定水準を下回ると安定運用に切り替えた後に償還します。このタイプは以前からありましたが、なにしろ仕組みが複雑であり、老後資金の準備を目的とした長期運用に適するかどうかは疑問が残ります。
地銀の言う「お客さまニーズ」とはどういうものでしょうか。投資初心者がほしいと思うのは「元本割れの可能性が極力低くて、リターンが相対的に高い商品」ということ。ちょっと乱暴かもしれませんが、これに尽きます。しかしそんな投信は基本的に存在しません。形だけでもそのような「お客さまニーズ」に応えようとした結果が「複雑な仕組み」の利用です。
筆者のこれまでの経験からすると、複雑な仕組みの投信は高コストでリスクがわかりづらく、投資家が知らないうちに大きな損失を被ってしまう可能性があるものが多いように思います。地銀が投信販売に注力するあまり、複雑な仕組みの投信も手がけ始めている、ということは知っておいた方がいいでしょう。
販売チャネルを選ぶ3つの検討要素
投信をどこから買うか、つまり販売チャネルをどう選ぶかは、あんがい難しいものです。選ぶ際の検討要素としては、主に以下の3点が挙げられます。
(1)自分が買いたい投信がある
投信は株式やETF(上場投資信託)と違って、販売会社ごとに買うことができる投信が違っています(複数の販売会社で買える投信もあります)。自分のほしい投信が決まっている場合は、必然的に販売会社も決まってしまいます。
(2)ネットで購入しやすいのは
銀行や証券会社でも対面での購入だけでなく、インターネットを介して投信を買うことができます。ただ、ネット専業証券・銀行の方が使い勝手がよく、情報も簡単に入手できる傾向にあります。販売手数料も相対的に安い場合が多いようです。