(2)「付属文書1」と「2」だけでも必ず読む

 報告書全体はちょっと・・・という場合は、報告書の最後にある「付属文書1」と「付属文書2」だけでもぜひ読んでください。付属文書1は「高齢社会における資産の形成・管理での心構え」として、個人投資家向けの提言が7ページにわたって展開されています。本報告書の本来の趣旨はここにあると、筆者は考えています。

 付属文書2は「高齢社会における金融サービスのあり方」として、金融機関に対する提言となっています。老後資金の準備は個人の自助努力だけでなく、受け入れ側である金融機関のあり方や姿勢も問われることを示しています。個人投資家にとっては金融機関選びの指針として参考になると思います。

(3)「ねんきん定期便」を確認して老後収支を棚卸し

 毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」。それに「老齢年金の見込額」が年額として記載されています。実際にもらえる年金額とは違うことが多いのですが、ひとつの目安にはなります。その金額を12で割って、月額を計算してみましょう。何度もやったことがあるかもしれませんが、この機会に改めて。

 思ったより少ないですか? 多いですか? そのくらいの金額ならそこそこ暮らしていけそうですか? 住居費や食費、光熱費、医療費、通信費、遊興費などなど。「最低ライン」「そこそこライン」「贅沢ライン」の3通りの支出を想定して、収支の棚卸しをしてみます。夫婦や家族で一緒に考えると、より現実的な試算ができるでしょう。

(4)収入を増やす・維持する手立てを考える

「そこそこラインでは厳しい、最低ラインでギリギリ」「最低ラインでもとても無理」という人は、今から収入を増やす、もしくは老後も収入を維持する手立てを考える必要があります。転職や副業も検討したいですね。退職後も長く働くために、手に職をつける準備を始めてもよいかもしれません。