運用実績よりも商品設計を重視!?

 当然のことながら、投信ブロガーの投信選びが必ず正しいとは限りません。運用実績よりも低コストへの意識が強すぎるのでは?という声があるのも事実です。実際に、20位までの21本(20位が同順位で2本ある)のうち、2018年1年間のリターンがプラスだった商品はありません(設定から1年未満の投信や外国ETFは除く)。

 2018年は秋以降、米国株式の下落にともなって日本株式も調整局面を迎えた結果、投信の運用実績が伸び悩みました。リターン上位になったのは、株式市場が下落すると基準価額が上昇する仕組みの「ベア型」や、国内の不動産に投資する「REIT型」が多かったようです。長期の資産形成に適した種類とは言い難い特徴的な投信が好調だった1年と考えることができます。

 長期の積立投資を実行している投信ブロガーは短期の運用実績はあまり気にせず、商品設計を重視していることが見て取れます。

つみたてNISAの浸透・拡充が投信選びに影響

 一方、つみたてNISAの浸透・拡大が、「Fund of the Year 2018」の結果に影響を及ぼしたことは十分に考えられるでしょう。

 金融庁が「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」として、つみたてNISAの対象商品を公表したのが2017年10月。投信を絞り込んだ主な条件として、(1)販売手数料がゼロ、(2)信託報酬が一定水準以下(例えば国内株のインデックス投信の場合は0.5%以下)に限定、(3)信託契約期間が無期限または20年以上であること、(4)分配頻度が毎月でないこと、(5)ヘッジ目的の場合などを除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと――が挙げられています。

 結果として、一般的なインデックス投信(ETF含む)が基本になり、アクティブ運用投信は例外として継続して投資家に支持・選択され、規模が着実に拡大しているものが選ばれました。「Fund of the Year 2018」の結果とつみたてNISA対象商品が似ているのは理解できるところではないでしょうか。

約6000本から自分に合った投信を選ぶ参考に

 いま、個人投資家が日本国内でいつでも購入できる公募投信はETFを含めて6000本以上あります。このなかから、自分の資産形成に役立つ数本~十数本を選ぶのは簡単ではありません。ましてや、投資初心者は途方に暮れてしまうでしょう。

 株式投資の世界では、株価チャート(株価の動きをグラフ化したもの)を分析して自分なりの投資理論を構築、売り・買いのタイミングをアドバイスするような人はいました。しかし、資産形成を目的とした長期運用のねらいと成果を公表する個人投資家のまとまった動きは「Fund of the Year」が初めてではないでしょうか。

 金融庁がつみたてNISAの対象商品を公表したことも画期的といえます。いわば、国が民間の商品にお墨付きを与えたわけですから。

 この動きを活用しない手はありません。「投資は初めて」「商品選びに自信がない」「いろいろ考えたけど結論が出ない」という方は、参考にしてもいいでしょう。なかでも、「Fund of the Year」20位までにランクインして、しかもつみたてNISAの対象にもなっている投信は購入を検討するに値する商品だと思います。