そういうCDOを見て、周りにいる活きのいい人が「こうやってやるのか」と考え方ややり方を学んでいけば、2代目以降は社内からCDOが生まれるかもしれません。
――楢﨑さんが目指す会社の将来像はどのようなものでしょうか。
私のミッションは次の2つだと考えています。
1つは、会社全体がデジタル化してしまっている、という状態になることです。いま私が担当しているデジタル戦略部だけの話ではなく、社員全員がデジタルが当たり前で、空気みたいなものになっているのが一つのゴールです。あらゆることがデジタルリッチになった未来型の会社になるということです。
既存の事業部では想像もできなかった新事業
もう一つはデジタルでの新事業を興し、重要なビジネスの柱の一つとすることです。既存の事業部ではできないこと、想像もできなかった新事業をデジタルで作ります。去年サイバーセキュリティ事業を立ち上げましたが、ほかにもものすごい勢いで仕掛けを作っています。まだお話できないのですが、「そこまでやるのか」と驚いてもらえるものになる自信がありますよ。
私がシリコンバレーで関わったベンチャーはいずれもソフトウェア分野でした。それで思うのは、金融業はソフトウェア産業に似ている、ということです。製造業のようにモノを作るのではなく、権利をやり取りするビジネスだからです。
金融業は今の新しい時代を享受できる可能性を持った業種です。現在は残念ながら堅い業種になっていますが、会社全体がデジタル組織になれば、世界一強い産業セグメントになるでしょう。金融機関のCDOとして、最終的にそこまでやれればおもしろいと思っています。