前回(「企業にコミュニケーション力の強化は必須、差別化のカギは費用対効果を高めること」)は、企業にとってCRM戦略(コミュニケーション力を差別化することにより顧客を獲得・維持する戦略)がますます重要になってきていること、CRM戦略の中の1つの施策として営業力の強化があることをお伝えしました。

 マーケティング&営業戦略の基本は、「誰に」「何を」「どうやって」売るか、を決定することです。今回はこの基本的な考えに基づいて、法人営業を主にビジネス展開する企業の売り上げ拡大策を整理してみましょう。

営業変革プロジェクトの前に「誰に」「何を」の見直しを

 現在ターゲットとしている市場や顧客で売り上げ拡大が見込めない場合、その市場や顧客を見直す必要があります。市場のないところにいくら生産性の高い営業活動をしても、売り上げは一向に伸びないからです。「誰に」の見直しです。

 マーケティング用語で言うと、市場分析し、顧客ニーズに合わせた「セグメンテーション」を実施し、差別化できるポジショニングを選択してターゲティングをする、といった作業を実施することになります。

 セグメンテーションという言葉はよく使われ、様々な局面で登場します。このあと登場する「どうやって」を検討する際にも、セグメンテーションという言葉が出てきます。同じセグメンテーションでもどう違うのでしょうか。

 「誰に」の場合は、市場特性や顧客ニーズを基準としたセグメンテーションが主となります。そこから狙うべき市場や顧客を選択していきます。

 一方、「どうやって」、すなわち営業生産性の向上を検討する際のセグメンテーションとは、自社にとってその顧客がどう位置づけられるかによって分類します。平たく言うと、自社にとって大事な顧客なのか、営業コストをかけてもコミュニケーションを取るべき顧客かどうかを分類するためのセグメンテーションになります(詳細は第4回で解説します)。