日銀の植田総裁(写真:ロイター/アフロ)

日本銀行は、景気や株価下支えのために続けてきた上場投資信託(ETF)の新規買い入れの終了を3月の金融政策決定会合で決め、実施しました。ETF買い入れは、安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の柱の一つ。ETFとはどのようなもので、買い入れ終了でどんな影響があるのでしょうか。金融緩和から引き締めへ踏み出した日銀が次の金融政策決定会合を4月25、26日に開くのを前に、専門記者グループのフロントラインプレスが「ETF」をやさしく解説します。

フロントラインプレス

そもそもETFとは

 ETFはExchange Traded Fundの略で「上場投資信託」と訳します。日銀が購入対象としてきたETFは日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数に連動するように設計されており、ETFの代表的なものです。

 日銀は多くの銘柄で構成されるETFを莫大な資金で買い入れることで、日本株全体の下支えを狙いました。ETF購入のために支払った資金が世の中に出回り、現金の流通量を大幅に増やすことで、消費や企業の設備投資の喚起など景気の底上げも目指しました。

(図:フロントラインプレス作成)

 ETFは証券取引所に上場されています。企業の株式と同じように、個人でも一口数千円から毎営業日に売り買いできます。日経平均の上げ下げを予想して利益を狙う主要な金融商品には、他に「日経225先物」があります。

 しかし、先物には決済期限があり、長く保有できません。これに対し、ETFには決済期限がなく、持ち続けることが可能。株価指数に連動するETFは多くの銘柄で構成されているため、投資のリスクも分散できます。