当初イランは、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派など傘下の武装組織による攻撃を行うものと予想されていた。13日には、革命防衛隊がイスラエルに関連する貨物船をホルムズ海峡近くで拿捕している。

 だが、翌日には、イランは、そのような間接的攻撃ではなく、直接イスラエル領土を攻撃するという挙に出た。そうしなければ、仲間であるヒズボラ、フーシ派、ハマスなどの「抵抗の枢軸」に対して、自らの影響力を行使できなくなるからである。イランがイスラエル攻撃を始めると、各地の親イラン武装組織も攻撃に参加した。

 イランによる直接攻撃は、イラン、イスラエルに自制を求めてきた国際社会に大きな衝撃を与えた。西側諸国は、イランを厳しく批判した。

イラン国民の不満

 イランでは、イスラエルに対して十分な報復をしたという政府のプロパガンダが流されている。イラン国民は溜飲を下げ、目的を達したという充足感が漲っている。これで一件落着といった感じだ。イランの国連代表部は、「この件は決着した」と述べている。

4月15日、イランの首都テヘランで、イスラエルに対する報復を祝うイランの人々(写真:ロイター/アフロ)

 イスラエルとの正面衝突は避けたいというのが、イラン指導部の本音である。年率4割というインフレ、通貨リアル安など経済情勢は悪化の一途を辿っている。それに伴って、今の政権に対する国民の不満も高まっている。食料やガソリンなどの必需品の買いだめに走る毎日である。