かつて時価総額は米国家予算の2倍にも

 USスチールが誕生したのは20世紀初頭、1901年のことです。“鉄鋼王”のアンドリュー・カーネギー氏が所有していたCarnegie Steel社(1873年設立)を、モルガン財閥の創始者ジョン・ピアポント・モルガン氏が率いるFederal Steel社(1898年設立)が1900年に買収。その翌年、さらに鉄鋼9社を吸収合併して生まれました。

 USスチールは誕生時、米国の鉄鋼生産の7割を占有する巨大企業でした。その時価総額は10億ドル超。世界初の10億ドル超えだっただけでなく、米国の国家予算の2倍に達する規模だったとされています。カーネギー氏はこの取引で世界一の富豪となり、のちにカーネギー財団やカーネギー・ホールを設立。文化や教育分野にも深い関心を持つ慈善活動家としても知られるようになりました。

 USスチールの誕生当時、米国は急速に国力を増し、重厚長大産業が勢いを見せ始めていました。フォード自動車やバイクのハーレーダビッドソンの設立、ライト兄弟による飛行機の初飛行もこのころです。

 ドイツではベルリンで地下鉄が初めて開業し、ロシアを横断するシベリア鉄道も開通しました。中東での石油生産もスタート。大量生産・大量消費の時代が間近に迫り、民生需要を軸に鉄の生産増強も求められていたのです。