2月17日、日本はH3ロケット2号機の打ち上げに成功した(写真:新華社/アフロ)

 岸田文雄首相が日米首脳会談のために4月8日、米国に向け出発した。

 報道では、厳しい国際情勢を背景として、防衛面での協力を深めるとともに、経済安全保障や宇宙などの分野での連携強化を確認するという。

 筆者の専門は安全保障だが、ロシア・ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、最近とくに宇宙安全保障の重要性を発信している。

 本稿では、宇宙安全保障と関係の深い日本の宇宙開発をテーマとして記述する。

日本の宇宙開発における最近の成果

 我が国は最近、宇宙開発の分野で特筆すべき成果を収めているので、簡単に紹介したい。

 まず、月面着陸だ。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月20日、無人探査機「SLIM(スリム)」の月面着陸成功を発表した。

 月面着陸に成功したのは旧ソ連、米国、中国、インドであり、日本は5カ国目の国家になった。

 特筆すべきは、その月面着陸が世界で初めてのピンポイント着陸だった点だ。ピンポイント着陸とは、狙った場所に確実に着陸することである。

 SLIMは2023年9 月7日、「H2A」ロケット47号機で種子島宇宙センターから打ち上げられ、同年12月25日に月周回軌道へ投入された。

 その後、2024年1月19日に着陸降下に備えて楕円軌道に投入されていたが、20日に着陸に成功した。

 SLIMは着陸後も活動を継続していて、月面の画像などの貴重なデータを送信している。

 次いで、新世代大型ロケット「H3」の打ち上げ成功だ。

 日本の宇宙開発の命運を握っていると言われていたH3の打ち上げが2024年2月17日に行われた。

 H3は、小型衛星2基を予定の軌道に投入し、さらに大型衛星に見立てた重りを予定通りに分離し、打ち上げは成功した。

 H3は2001年から運用中のH2Aの後継機だが、2023年3月の1号機の失敗を受け、背水の陣で臨んだ打上げであった。新エンジンを搭載し、コスト低減を進めたH3が、日本の宇宙開発利用の新たな主軸となる。

 そして、スペースデブリ(以下、デブリ)除去などの軌道上サービスにおける世界初の専業民間企業アストロスケール(Astroacale)だ。

 軌道上サービスとは、軌道上の宇宙機(人工衛星、宇宙船、宇宙ステーションなどの人工物)の衝突回避やデブリの排除を目的とするサービスである。

 アストロスケールは現在、世界で初めてのデブリ除去の実証実験を行っている。以下、アストロスケールに焦点を当てて紹介する。